MicrosoftがアドウェアメーカーのClaria買収に向けて、同社と話し合いを進めていると、複数の情報筋が伝えている。この背景には、ライバルのGoogleやYahooに対抗する広告ネットワークを保有したいというMicrosoftの思惑がある。
この交渉に詳しい情報筋によると、この買収が実現するかどうかは不透明だという。しかし、もし実現するようなことがあれば、Microsoftはとんでもない会社を買ったとして消費者団体から失笑を買うことになるだろう。Clariaは、ウェブユーザーの動きを追跡し、不快なポップアップ広告を表示することで有名な会社だからだ(なお、MicrosoftのMSNは、ポップアップ広告の販売を1年以上前に中止している)
この件に関して、MicrosoftおよびClariaの関係者からはコメントが得られていない。
Clariaの買収が実現した場合、MicrosoftのMSNは戦略的に重要な資産をいくつか手に入れることになる。同サービスはまず、Clariaの広告配信ネットワークを獲得することで、MSN Network以外にも広告を配信できるようになる。ライバルのGoogle、Yahoo、America Online(AOL)は、それぞれがこのような広告配信ネットワークをすでに所有している。ネット広告の売上が年間30%以上の伸びを見せるなかで、広告配信ネットワークはますます重要になっている。
ForresterResearchのアナリスト、Charlene Liは、「(昨年)AOLがAdvertising.comを買収したように、MSNもClariaを利用することで既存の広告関連のつながりを拡大できる」と説明する。
次に、MSNはコンテンツだけでなく、広告をパーソナライズするための技術も手に入れることになる。ユーザーの好みに合わせてカスタマイズしたコンテンツやサービスを提供することは、なんとかユーザーをつなぎとめたい各大手ウェブポータルにとって大きな目標となっており、MSNでも例外ではない。
さらに、MSNはネットユーザーの行動について深い知識を持つシステムを利用できるようになる。Clariaのソフトウェアは、推定で約4000万台のPCにインストールされており、検索広告を表示するためにユーザーの行動や習性、好き嫌いをモニターするように考えられている。さらに、同社にはユーザーの長期トレンドを予測する調査部門もある。
ただし、Clariaはこれまで、さまざまなウェブサイトや広告主、ウェブユーザーとの間で、いろいろな問題を起こしてきた。長年、ポップアップ広告の代名詞であった同社は、ダウンロード型ソフトウェアを開発しているが、このソフトウェアはPtoPのファイル共有ソフト「Kazaa」などにバンドルされる形で出回っていた。
また、このソフトウェアがインストールされると、たとえばGoogleで検索した後にYahooの検索を宣伝する広告ページがポップアップ表示されるようになったりする。あるウェブページの上に重ねて競合企業の広告を表示することは、この主のソフトウェアの売り物だが、このやり方がThe New York TimeやWells Fargoのような大手の広告主の怒りを買っていた。なお、Clariaではいくつかの訴訟について和解を成立させている。
過去2年間、Clariaは自社のイメージ向上と製品の大幅な変更に取り組んできた。同社は「Gator」という以前の社名を新しいものに変え、アドウェアメーカー向けに一連のベストプラクティスをまとめたものを公表し、さらに最近では長年のパートナーであったKazaaとの関係を解消したと述べている。Clariaの広報担当、Scott Eagleによると同社は2週間前にKazaaに対して「契約解消の通告」を行ったという。
Clariaに対しては、同社のソフトウェア配布方法をめぐって、これまで数多くの批判が上がっていた。同社のソフトウェアは、Kazaaのようなソフトウェアにバンドルされる形で配布されていたため、PCユーザーには自分が何をインストールしたかがわかりにくかった。こうした批判を受け、同社は昨年予定していた株式公開を中止していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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