アドビ システムズは6月7日、クリエイタープロ向けのデザイン環境であるAdobe Creative Suiteの新バージョン「Adobe Creative Suite 2 日本語版」(CS2)を発表した。同社の米国本社では4月18日にMacromediaの買収を発表しており、両社が統合する前の最大の製品発表といえる。
CS2にはStandardとPremiumがある。Standardには、デジタル画像編集ソフトの「Adobe Photoshop CS2 日本語版」や、ベクトルコンテンツ制作ツール「Adobe Illustrator CS2 日本語版」、レイアウトデザインソフト「Adobe InDesign CS2 日本語版」などが含まれる。Premiumにはこれらに加え、ウェブサイト作成ソフト「Adobe GoLive CS2 日本語版」とPDFファイル作成ソフト「Adobe Acrobat 7.0 Professional 日本語版」が含まれる。
画像編集ソフトのAdobe Photoshop CS2 日本語版には、Vanishing Pointや画像のワープといった新しいツールが備わっている。Vanishing Pointは、遠近感を保ったまま、オブジェクト画像の複製やペイント、変形が可能で、従来のレタッチ作業の負荷が大幅に削減される。画像のワープは、製品パッケージ制作などのワークフローを容易にするツールで、既に搭載されているプリセットを選択するか、カスタムコントロールポイントをドラッグするだけで、画像を折りたたんだり引き伸ばしたりして、望みの形状に変えることが可能だ。
Adobe Illustrator CS2 日本語版には、ライブトレースやライブペイントなどの機能が加わった。ライブトレースは、スキャンした手書きのスケッチや写真を簡単かつ正確にIllustratorのアートワークに変換する機能だ。また、ライブペイントは、どのような方法で制作されたアートワークでも、モニター表示を見ながら直感的に彩色できる機能となっている。
Adobe InDesign CS2 日本語版に追加されたのは、SING外字ソリューションだ。これは日本語版独自の新機能となり、日本語のタイポグラフィにおける外字ワークフローをデスクトップ上で実現できるものだ。従来、外字は特別の扱いが必要で、入力から校正、組版、最終出力に至るまでの工程で効率を下げる要因ともなっていた。アドビの開発した外字アーキテクチャ「SING」は、必要な外字の文字の形状表現と付属情報(メタデータ)そのものを文書に埋め込むことで、一貫性のあるパブリッシング環境が構築できる。
Premiumに含まれるAdobe GoLive CS2 日本語版は、モバイルコンテンツ向けの制作環境が強化されている。モバイル機器に対応するために、オープンスタンダードに準拠したモバイルオーサリングツールを搭載しているほか、モバイル機器向けのCSSやXHTML、SVG、SVG-T、3GPP、MPEG-4などをサポートしている。日本市場に向けては、ACCESSのNet Front Mobile Content Viewerがバンドルされている(Windows版のみ)。これにより、ACCESSの情報家電向けブラウザNetFrontの表示をGoLive CS2内で正確にエミュレートでき、NetFront用に開発したコンテンツが簡単にチェックできる。
ほかにもCS2では、Standard・Premium共に、ビジュアルファイルブラウザの「Adobe Bridge」が新たに追加された。これは、デザインした成果物を簡単に閲覧したり分類したりできるブラウザだ。複数ページにわたるPDFファイルのプレビューや、搭載されているCamera Raw 3.0による画像処理、Adobe XMPメタデータの編集および検索などが可能となっている。また、Adobe BridgeからはAdobe Stock Photosと呼ばれる新サービスにアクセスでき、そこからデザイン作業上必要となるロイヤリティフリーの画像を購入できるようになっている。
CS2は、Macintosh版およびWindows版ともに2005年7月上旬より販売される。アドビストアでの価格(税込、送料別)は、以下の通りだ。
CS2 Standard
CS2 Premium
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス