米政府は、テロリスト探しの手段として新しい検索技術に期待を寄せている。
友人や未知の人物を詮索するための無料ツールとして、現在最も利用されているのはGoogleだ。しかし、米連邦航空局(FAA)など複数の政府機関は、現在バッファロー大学(UB)が進めている新しい検索エンジンの開発に資金を提供しており、将来、より機密性の高い調査を行なうためのツールとしてその技術を利用しようと考えている。
数週間前にプロトタイプとしてリリースされたこの検索技術は、複数の文書全体に検索をかけ、関連のあるコンセプトやつながり(関連性)を発見できる設計になっている。この技術により、例えば、通常なら発見できない、あるいは発見するのに膨大な調査期間を要する無関係なコンセプト間のつながりを短時間で検索できる。このプロジェクトには、テロ対策の取り組みのために、特別に資金が拠出された。この技術は当初、米国の同時多発テロに関する独立調査委員会(9・11委員会)の報告書や、米国の民間航空機3機をハイジャックしたテロリストらによる自爆テロに関するウェブページに含まれるデータの検索に利用されていた。
「例えば、ここにいる2人の人物を結び付けるある問題があり、われわれはその2人を知らないとする。普通は、その2人に関する全ての文書に目を通すことから始めるだろう。しかし、われわれのシステムは、(2人を結び付ける)証拠や手掛かりだけを検索できる設計になっている」と語るのは、UB教授でコンピュータ科学/エンジニアリングが専門のRohini Srihariだ。
スタンフォード大学の名誉教授でコンピュータ科学が専門のJohn McCarthyによると、複数のコンセプトを結びつけるという発想自体は以前から存在するが、その新しい方法は重要な発明となる可能性があるという。GoogleやYahooといった検索エンジンは、複数のドキュメントに検索をかけ、手掛かりとなるテキストや検索語と適合する言葉を探し出すのが一般的で、コンセプトに基づいて検索するわけではない。ただし、現在Googleではコンセプト検索の分野に取り組んでいる。
「コンセプト検索が可能になれば、既存の検索ツールの利便性はさらに高まるだろう」(McCarthy)
この新しい検索エンジンは、Srihari教授とUBのSchool of Engineering and Applied Sciences(エンジニアリング/応用科学学部)のCenter of Excellence in Document Analysis and Recognition(ドキュメント分析/認識の卓越した研究拠点)のチームが2年がかりで開発した。Srihari教授によると、開発チームは、今年末までにFAAや情報関連業界に提供可能なシステムを開発する予定だが、それを広く一般に公開することはないという。同チームは米国立科学財団(NSF)の資金協力を得て行なった基礎研究も発表する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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