ハンゲームのテレビCMなどで知られるNHN Japanがソーシャルネットワークサービス(SNS)の市場に新規参入する。同社の新サービス「CURURU」の特徴は、ブログの機能を組み込んだSNSを展開する点だ。同社の田代克行氏と吉原数規氏にサービス概要とビジネスの展望を聞いた。
関係付けのデータベースを利用した新サービスが狙い
--「CURURU」はいつから構想を練り、そのサービスの狙いはなんでしょうか。
NHN Japan CURURU事業部 事業部長 田代克行氏 |
田代氏:ブログとSNSを組み合わせたサービスとしては、SNSが世間に浸透し始めた2004年の夏頃から考えていました。SNSは友人関係など、さまざまな関係をベースに結びつく仕組みであり、ブログもトラックバックのように同様の部分があります。この関係を含むデータベースを活用して、動的に変化するサイトを作れればおもしろいと考えていました。ただ、システムの構築は苦労しました。
その一方で、ブログの使われ方には、匿名で記事を書くという方法と、素性を公開にして書く以外に、友人など知り合いだけに内容を公開するという使われ方がある点に注目していました。現在、日本におけるブログの使われ方は、この知り合いだけに内容を公開するケースが多いので、同様のコンセプトを持ったSNSと結びつけることで、よりサービスの幅が広がると思いました。1つのプラットフォームに統合されることで、オフラインでつながっているユーザー同士がオンラインでさらにつながりを深められると考えたわけです。
--ブログとSNSを組み合わせたサービスでどのくらいのユーザー数を獲得できると考えていますか。
田代氏:CURURUのベースには、現在NHN Japanが提供しているブログサービス「NAVER ブログ」があり、これは43万人のユーザーを有しています。そこにSNSとのシナジー効果を加えて、今年度中に100万人のユーザーを獲得することを目的としています。
機能制限を設けてオープンなSNSを展開
--ブログもSNSも、すでに競合が多数存在する状況ですが、その中でNHN Japanの強みというのはどのようなところにあるのでしょうか。
NHN Japan CURURU事業部 コミュニティサービスチーム Plannar 吉原数規氏
|
吉原氏:ブログ機能に関しては、テキスト以外に写真などのリッチメディアが容量無制限で利用できるのに加え、アップロードした写真を加工できる機能が備わっています。また、「お絵かき機能」が装備されており、フリーハンドで自由に絵が描けるようになっている部分が他にはない機能でしょう。
SNSに関しては、ほかのSNSが登録制でないとユーザーになれないのに対して、「CURURU」はオープンなユーザー登録が可能です。ただ、SNSとして機能させるために学校単位の同窓会や、地域のコミュニティを充実させます。また、友人以外に日記やプロフィールに制限を設ける機能によって、クローズド型のSNSと同等の機能を有しています。
田代氏:さらに、「CURURU」にユーザー登録しただけ、つまり自分以外に友人登録をしていない場合には、アバターを表示する「クルルルーム」など、ほとんどの機能が利用できないという制限がかかる仕組みとなっています。ユーザーにはブログを使って自己発信するという活動を通じて、友人登録を増やしていくことを促します。
--機能は豊富に感じますが、こうしたサービスを基本的に無料で提供することで、どのようなビジネスモデルになっているのでしょうか。広告収入がメインなのでしょうか。
田代氏:基本的にユーザーは無料ですが、アバターを着飾らせたいという要望に対しては、課金していく方法です。広告に関しては、ユーザーのスペースはあくまでパーソナルな存在であるため、広告は積極的には表示したくないと考えています。
--アバターなどだけで、ビジネスが成り立つのでしょうか。
田代氏:NHN Japanでは「ハンゲーム」で同様のビジネスモデルを作り上げた実績あります。また、一方でSNSはリアルとオンラインの融合系を示すもので、その空間に人が集まれば必然的にリアルで会おうという流れになります。そこで、旅行のパッケージプランの提案や宴会の提案など、リアルで会うのを支援するビジネスや、コミュニティに合わせてチケットや物の販売を行うビジネスを近いうちに展開していきます。ほかにも、ブログ、SNSと連携したアフェリエイトなど、様々なビジネスがあると思っています。
--多大なユーザー数を持つハンゲームなどとの融合したサービスなども考えているのでしょうか。
ハンゲームはあくまでオンラインの世界で、「CURURU」はリアルの世界ですので、そのあたりは別のものと考えています。ただ、なんらかのシナジー効果は現れるとは考えていますし、そのシナジーを生み出すためのビジネスの展開は今後の視野に入れています。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」