ヤフーがついに証券取引仲介サービス参入--銀行、カードに続き総合金融へ

別井貴志(編集部)2005年06月01日 11時13分

 ヤフーは6月1日、個人投資家向けに株式などの有価証券の売買を取り次ぐ証券仲介サービスを8〜9月に開始すると発表した。サービスを開始するにあたり、実店舗での対面営業を得意とする日興コーディアル証券と、オンライン専業で最大の口座数を誇るイー・トレード証券の2社と業務提携することで合意し、近日中に2社を所属証券会社として関東財務局に証券仲介業の登録を申請する。銀行やカード事業はすでに手がけているので、証券取引を加えて総合的な金融サービスへ向けてまた一歩進んだことになる。

 今回の仲介サービスは、提携した証券会社へ誘導して口座を開設させることで売買を取り次ぐサービスだ。ヤフーの収益は、ヤフーを通じて口座を開設した人が、取引した際に得られる。1取引あたりの一定額の仲介手数料がヤフーに入るので、取引が多ければ多いほど収益をもたらすわけだ。

 具体的なサービス内容は、専用サイトにおいて株式(現物・信用)や投資信託、国債など有価証券売買の取り次ぎや投資の勧誘を行う。それと共に、専用商品の提供や、取引手数料に応じたYahoo!ポイントの還元、Yahoo! BB会員やYahoo!プレミアム会員向けの特典などを予定している。また、Yahoo!ファイナンスなど、ほかのサービスとも連携して個人投資家向けの総合的な金融サービスを展開していく。

 イー・トレード証券では専用商品の第一弾として、ソフトバンクグループおよびソフトバンクグループに関連する企業のみを組み入れた投資信託「ソフトバンクグループファンド(仮称)」の提供を予定している。

 また、日興コーディアル証券では株式(現物、ミニ投資)、国債、投資信託(外貨建MMFを含む)、デジタル・カバードワラント(愛称:デジワラ)のほか、新商品を取り扱い、コールセンター内には専用デスクを配置する予定だ。同証券では、今回の提携に関して「ニッポン放送問題などで株式について興味を持つ人は一気に増えたが、そうした人でも実際に証券取引をしている人はまだまだ少ない。圧倒的なヤフーのアクセス数を考えると、そういう人たちに証券取引を広く訴求できる」と説明した。

 競業他社では、楽天が2003年11月にDLJディレクトSFG証券を買収して自らが「楽天証券」として証券取引業に参入している。また、ライブドアも2004年2月に日興コーディアルグループから日本グローバル証券を買収して自ら「ライブドア証券」を展開している。

 これに対してヤフーの今回の話は、あくまでも証券取引の仲介サービスのため、自らが証券業免許を取得して証券会社を展開するわけではない。ただし「将来的に自らが証券業を行うことを排除したわけではなく、その可能性もあるが、具体的な計画は今のところまったくない」(ヤフー広報)としている。

 また、今回提携した証券会社は2社だが、「これまでいろいろな証券会社に呼びかけたが、本日時点で発表できたのが2社だった」(同)と、今後提携する証券会社は増える見通しを示した。

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