ファイル交換技術のBitTorrentに新しい機能が追加された。これにより、著作権侵害行為を取り締まる人々は、映画やソフトウェアの違法ダウンロードを摘発するのが難しくなった。
BitTorrentの開発者であるBram Cohenは、先頃発表した同ソフトの最新ベータ版に、「トラッカー」なしでファイルを配布できる機能を追加した。トラッカーとは、ファイルのホスティングを行う中央のサーバのこと。著作権侵害行為を取り締まる側にとって、トラッカーは、ファイルのダウンロードや配布を行う人を特定するうえで重要な役割を果たしてきた。
業界団体Business Software Alliance(BSA)によると、今回の修正が加えられたことで、オンライン上で行われるソフトウェアやコンテンツの違法共有を取り締まることは難しくなる可能性が高いという。
BSAのアジア地域・著作権侵害防止担当ディレターTarun Sawneyは、「これまで、トラッカーサイトを閉鎖することによって、多くのダウロード行為を遮断することができた。トラッカーなしでファイルを配布することが可能になったことで、われわれも戦略を練り直さなければならなくなった」と述べる。
しかしながらSawneyは、今でもBitTorrentのファイルを見つけ出すことは簡単だと述べる。
「BSAは、これまでも違法コピーファイルをホスティングするサイトを支援する人々を調査してきた。トラッカーサイトがなくなっても、違法ファイルを管理する人間は存在し続けるだろう」(Sawney)
一方でBitTorrentを開発したCohenは、トラッカーなしでファイル交換を可能にする機能を追加したことについて、オンラインファイル配信を「何の面倒もなく、安く」行えるようにするための取り組みの一環だと述べる。また同氏は、これは、BitTorrentネットワークのトラッカーへの依存度を低下させるための方策の1つに過ぎないと述べている。
SuprNova.orgをはじめとする複数の大手トラッカーサイトは2004年12月、全米映画協会(MPAA)が法的措置に踏み切ったのを受けて、閉鎖に追い込まれた。オーストラリアでも、音楽ファイルの違法コピーを追跡する機関が、地元のインターネットプロバイダSwiftelに対して同様の法的措置を講じている。
なお、かつて人気を集めたSuprNova.orgサイトの制作者らが立ち上げた「Exeem」プロジェクトでは、Kazaaと同様の分散型のPtoPネットワークを構築しようとしている。また、BitTorrentクライアントソフト「Azuerus」の開発者らも5月に入り、Cohenと同様の取り組みを発表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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