「Firefox」ブラウザは依然としてMicrosoft「Internet Explorer(IE)」からマーケットシェアを奪いつつあるが、セキュリティ問題があだとなり、その成長速度は鈍化し始めている。
ウェブサイトの調査とマーケティングを行うWebSideStoryは米国時間10日、4月29日の時点で、IEの米国内におけるマーケットシェアが88.9%まで低下した一方で、Mozilla FoundationのオープンソースブラウザFirefoxのシェアは6.8%に伸びたと発表した。Firefoxのシェアは2月の前回調査と比べて1%増加している。
しかしFirefoxの成長率は、今回の結果を含め2期連続で鈍化している。2004年6月のテスト版リリース後、Firefoxは毎月0.5%ずつマーケットシェアを伸ばし、バージョン1.0が発表された同11月以降のシェアは、毎月1%ずつ拡大していた。だが現在のシェア成長率は、月に0.3%をわずかに上回る程度となっている。
WebSideStoryのアナリストGeoff Johnstonは、「成長が再び鈍化している。最新版のリリース以来、こうした傾向が目につくようになった」と話している。
Firefoxを支えてきたのは、早くから同ブラウザを利用し始めたユーザーや、技術に詳しい人々だったが、同ブラウザの成長が鈍化しているのは、Firefoxが彼らの支持を大幅に失ってしまったからだとも考えられる。また、Firefoxで発見されたセキュリティ上の脆弱性が大々的に報道されたことで、IEからより安全なブラウザへ乗り換えるべきだというMozillaの主張は、信憑性が損なわれてしまったのかもしれない。
Mozillaは、成長率の下落を重要視する見方に異議を唱え、Firefoxのセキュリティレベルは今も他の追随を許さないとしている。
「セキュリティアップデートは何回か行ったが、それは脆弱性となり得る問題に対処するためのものだ。Firefoxユーザーがいずれ直面するかもしれない問題を、回避することが目的だった」と話すのは、MozillaのエンジニアリングディレクターChris Hofmannである。同氏はさらに、「Firefox利用中に何らかの被害に遭ったというユーザーの存在は、多くは報告されていない。安全ではないという理由で、ユーザーがFirefoxからほかのブラウザへ乗り換えているという証拠もない」と指摘した。
それどころか、Mozillaにはセキュリティを気にするユーザーから賞賛の声が寄せられていると、Hofmannは強調する。ユーザーらは、セキュリティホールが実際に悪用される前に迅速にパッチが配布される点を評価しているという。
Mozillaは今年の目標として10%のマーケットシェアを獲得することをあげていたが、原因が何であれ、Firefoxの成長鈍化は、この目標の実現に影を落としていると言えそうだ。
WebSideStoryはドイツや日本での調査結果も発表している。このデータをみると、国によってFirefoxの利用状況が異なることが分かる。
ドイツでは、IEのマーケットシェアが69.5%、Firefoxのシェアが22.6%という結果が出ている。対照的に日本では、IEのシェアが93.9%、Firefoxのシェアはわずか2.8%となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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