Microsoftがキリスト教徒連合(Christian Coalition:CC)の元事務局長、Ralph Reedのロビー会社を利用しているとインターネット上で報じられたことから、Microsoftは24日、ゲイ/レズビアンの人権擁護団体から非難を浴びた。
Microsoftは、ワシントン州の差別禁止法案への支持を撤回するよう同州在住の保守派の牧師から圧力を受けた直後に、同法案への支持を撤回した。そのため、同社はここ数週間、多くの批判にさらされている。その後、同法案はわずか1票差で否決された。
Microsoftは、社員に同棲手当を支給しており、また、自社の差別禁止規定に同性愛者に対する差別禁止条項を盛り込んでいる。そのため、従来ゲイ/レズビアン団体の同社に対する好感度は高かった。しかし、現在それらの団体はMicrosoftに対し、Reedが経営するCentury Strategiesという企業との関係を絶つとともに、人権問題についての話し合いに応じるよう求めている。
「われわれはただ、(Reedが)Microsoftの代理人として、ワシントン州の全住民のための差別禁止法案の廃案に一役買ったのではないかと懸念している」と語るのは、シアトルに拠点を置くゲイ/レズビアンの人権擁護団体Equal Rights Washingtonの事務局長George Cheungだ。同団体は20日、タウンホール・ミーティングにMicrosoftの幹部を招き、同社の今後の活動について議論した。
Microsoftの広報担当によると、同社は2000年から、国際貿易/競争問題に関して継続的にReedのコンサルタント会社を利用しているが、それとワシントン州の法案問題とは全く無関係だという。
Microsoftの広報担当、Mark Murrayは、「社会政策問題について(Reedの会社から)アドバイスを受けたことはない」とし、さらに「それらの2つの問題は全く無関係だ」と付け加えた。
MicrosoftのCEO、Steve Ballmerは社内に宛てたメールの中でワシントン州の法案についての方針変更について説明している。同氏は、社内で意見が分かれそうな社会政策問題を回避するための決定の一環だったと述べた。Ballmerによると、同社が方針を転換したのは、保守派の地元牧師からの圧力があったためではないという。
24日付のSeattle Timesに掲載されたMicrosoftの会長Bill Gatesのインタビュー記事を見る限り、同社は2006年にワシントン州の差別禁止法案に関する立場を再考する可能性もありそうに思われる。Murrayは、Gatesの発言について、同社の方針の再転換を示唆するものではないとしたうえで、同社は、差別禁止法案賛成派/反対派の双方からメールで寄せられた多くの意見を考慮すると述べた。
MicrosoftとReedとの関係を報じたのは、ワシントンDCに拠点を置くAmericaBlogというサイトだ。同サイトは、政治問題やゲイの市民権問題を扱っている。
MicrosoftがロビイストとしてReedを初めて雇ったのは1998年のことだ。当時は、同社に対する反トラスト訴訟がさかんに行われていた。2000年にReedの会社が複数の有力共和党員に、同社に代わって次期大統領候補のGeorge Bushに接触するよう要請する書簡を送付した。しかし、New York Timesの記事でその戦術が明るみに出たため、Reedは作戦を中止し、利害の対立を生んだことに対し謝罪している。
Reedは、ゲイ同士の結婚や差別禁止法の制定に対し積極的に反対してきた共和党の宗教的保守派グループと長年親交があった。しかし、ReedはCC事務局長の在任期間中、ゲイ問題に関し政治的盟友らよりも控えめかつ遠回しな発言を行っていた。
現在Reedは、地元ジョージア州の副知事候補だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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