シンガーソングライターGeoff Byrdは、インターネットから誕生した初めてのミュージシャンかもしれない。しかし、Byrdは活動の過程において、音楽業界の保守的な体質を身をもって知ることとなった。
Byrdはインターネットでの活動を通して、この1年の間に少しずつ人気を集めてきた。大手レコード会社に所属せずに活動するByrdは、GarageBand.comで一貫して高い評価を得てきた。またByrdは、Live365とMicrosoftのMSNから強力な支援を受けることにも成功している。RadioWave Airplay Monitorによると、2004年12月の短い期間ではあったが、インターネットラジオで最も頻繁に配信されたロックミュージックは、U2でもGreen Dayでもなく、Byrdの楽曲だったという。
大手レコード会社各社はByrdに関心を寄せても良さそうなものだが、 Byrdと大手レコード会社の間で契約が成立するには至らなかった。そこで先週、Byrdのマネージャたち(このなかには、バンドKansasの立ち上げに関わったメンバーも含まれる)は、Granite Recordsという独自のレコード会社を創設した。Granite Recordsは、Universal Music Groupの系列会社を通してByrdの楽曲を全米に流通させる計画だ。
長いこと音楽業界の仕事に携わり、Granite Recordsの共同設立者でもあるDave Austinは、「Byrdの進出にインターネットが役立った」と語る。「今後は少し方針を変えて、主要ラジオ局に対してByrdのプロモーションをかけていく」(Austin)
今回の一連の動きから、2つの事実が明らかとなった。1つ目は、インディーズ系のアーティストにとってインターネットが有力なプロモーションツールになり得るということ。そして2つ目は、インターネットが今でも、FMラジオやライブという従来のルートの補助的役割を担うものと位置付けられており、そこでの活動には限界があるということである。
GarageBandでは、ヒット曲を世に送り出そうと、ミュージシャンによる推薦や評価をはじめとするユニークな機能も提供している。Byrdがここまで有名になる過程において、GarageBandの果たした役割も大きい。
GarageBandのCEO、Ali Partoviは、主要ラジオ局でByrdの曲がとり上げられるようになれば、従来のレコード会社もインターネット上での動向に注目するようになるだろうと述べた。
「音楽業界の大手企業が、いまだにインターネットに注意を払っていないとは驚きだ。すでにレコード会社と契約しているアーティストの楽曲をインターネットラジオでも配信することに興味はないのだろうか。従来のラジオ局にとっても、そうする方が得策だと思うのだが」(Partovi)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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