Yahooは裁判所の命令に従って、イラクで戦死した海兵隊員の電子メールを家族が見られるようにすることに同意した。
米国時間20日、ミシガン州オークランド郡の遺言検認裁判所は、Yahooに対して、Justin Ellsworth(20歳)の父親に戦死した息子の電子メールアカウントに保存された情報を提供するよう命じた。Justin Ellsworthは、11月にファルージャで道路脇に仕掛けられた爆弾によって亡くなっていた。
Yahooは電子メールアカウント保持者以外は、いかなる人物にも電子メールのパスワードを提供しないという方針だが、21日にはこの方針を翻して、裁判所の命令に従った。
Yahooの広報担当者Mary Osakoは「当社はこの件に関して裁判所の決定が下りたことを喜んでいる」と話した。
この件は、ユーザーが死亡した際に遺されたデジタル情報はどうすべきかというプライバシーの問題と、そのユーザーの家族に対するインターネットサービスプロバイダ(ISP)側の責任について、また明確な基準がないことを浮き彫りにするものだ。
専門家によると、誰かが死亡した際に電子メールは死亡者の財産の延長とすべきかどうかについて、決定的な判決はまだ存在しないという。しかし、電子メールのアカウント情報とそのアカウント内のデータはほかの所有物と同じ扱いとすべきだという議論を支持すると専門家らは述べている。
「ISPのサービス契約が遺言検認裁判所の合理的と思われる判決に反する場合は、どちらの立場が勝るかを認定するためのヒヤリングを行うべきだろう。公共の利益により近いのは、個人情報の開示なのか、それともISPのサービス契約が掲げるプライバシーの支持なのかを見極める必要がある」と、プライバシーを扱うコンサルティング会社PrivacyClueのRay Everett-Churchは述べている。
しかし、ISPが裁判所にこのような判決を求めるのは当然のことだと、プライバシー問題の専門家は言う。「それが何らかの詐欺行為だったと分かった場合、Yahooは自社のプライバシーポリシーに違反したことになってしまう」(Everett-Church)
電子メールプロバイダの中には、America Onlineのように死亡者との関係を証明する書類を提出し、死亡証明書をファックスすれば、親族が死亡者の電子メールにアクセスするのを許す会社もある。
Yahooは、ユーザーとのサービス契約によって、プライベートな電子メールを公開できないことになっている。同社は、家族の身元や死亡者との関係を確認するための裁判を行った後にのみ、アカウントを家族に渡すことにしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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