Linuxの生みの親であるLinus Torvaldsが、同プロジェクトのソースコードの置き場所を新たに探し始めた。これは、Linuxプロジェクトで現在利用しているソースコード管理システム「BitKeeper(BK)」をめぐって開発者の間で意見の衝突が起こったためだ。
Torvaldsは、米国時間6日にLinuxカーネル関連のメーリングリストに投稿したメッセージのなかで、自動処理能力で劣る電子メールベースのシステムを新たに採用した場合、Linuxの開発に遅れが出る可能性があるが、それでも新しい方向へ動き出すのは早ければ早いほどよいと述べた。
「私はBKの使用を中止することにしたが、これは主として他の選択肢を検討する必要があるからだ」とTorvaldsはこのメッセージに記している。「これまで通りの状態を維持するのではなく、あえて困難に挑み、BKを使用しないとどうなるのかを見てみるつもりだ」(Torvalds)
Robert Frances GroupアナリストのStacey Quandtは、この変更によって大きな問題が生じるとは考えていない。「(この変更によって)Linuxの開発に遅れが出るとは思わない。現在でも、おびただしい数の変更が電子メール経由で効率的に行われているからだ」(Quandt)
しかし少なくとも、多くのLinux開発者はBKを利用して修正したソースコードをやりとりすることに慣れているため、彼らの間では大きな混乱が起こることになるだろう。
互いに接続し合った各BKレポジトリのなかには、現在作業中のLinuxカーネルのバージョンが1万種類以上も存在していると、BitMover創業者のLarry McVoyは述べている。同社の販売するBKはプロプライエタリソフト。ただし、この状況も変わることになりそうだ。「Linuxカーネルの主なソースコード管理システムは、3年以内に別の何らかのシステムに変わるだろう。ただし、具体的にどれがなるかはまだわからない」(McVoy)
Linux開発の取り組みは以前と比べて大規模なものになっており、McVoyの見積もりによると、現在1500人以上のプログラマがLinuxコンポーネントの開発に参加しているというが、こうした規模の拡大に合わせて、開発の進め方も徐々に変わってきている。Torvaldsは2004年から、参加者に対して自分の書いたコードに署名を入れることを求めており、また2002年にはより系統だったバグ追跡システムが導入された。Torvaldsはまた、電子メールを使ったパッチ配布のフォーマットも標準化した。
Torvaldsは2002年にBKを使い始めた。同氏は、数多くのプログラマが書いたコードを同期するのに中心となるレポジトリを必要としないBKの機能を高く評価している。「BKのおかげで、私の生産性は2倍以上あがった」と、Torvaldsは2004年3月に出されたBK関連のニュースリリースのなかで述べていた。
Torvaldsは、Concurrent Version Systemなどのコードレポジトリでソースコードを管理するやり方を好ましく思っていないが、ただしそうしたやり方に切り替える可能性を完全に排除したわけではないと述べている。同氏によると、BKに代わるLinux管理システムとして最も有力なのは、「Monotone」と呼ばれるプロジェクトだという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」