欧州理事会(EU Council)は、論争を巻き起こしていたソフトウェア特許に関する提案を承認した。この提案に対しては、数多くのソフトウェア開発者やいくつかの加盟国から反対意見も出されていた。
欧州理事会は現地時間7日、ソフトウェア特許指令を承認した。デンマーク、ポーランド、ポルトガルの3カ国はECに対し、同指令を否決するよう求めていた。
同理事会の広報担当は7日朝、コンピュータを使った発明の特許取得に関する指令(Directive on the Patentability of Computer-Implemented Inventions)は承認されたが、それ以外の詳細は明らかにできないと述べた。
このまま行けば、同指令によりソフトウェア特許は合法化されることになる。同指令の支持者は、欧州企業の研究開発投資が保護されると語るのに対し、反対者は技術革新が抑制されるとこれを批判している。
ソフトウェア特許に反対する活動家で、会議の公開部分を傍聴していたFlorian Muellerによると、同指令を承認することにより、EU Councilがその承認プロセスを忠実に守り、他の指令に関わる問題発生の回避を徹底させる、とルクセンブルクのある大臣が語ったという。
Muellerによると、その大臣は「われわれがそのような立場を取るのは制度的な理由からだ。つまり、(仮に今回の承認プロセスが長期化すれば)それが前例となって、将来の他の承認プロセスでも遅延が生じかねないため、そうした事態を回避する必要がある」と語ったという。
先週、デンマークは、同指令についての再協議を可能にするため、同指令をA項目ではなくB項目として記載させようと試みる、と報じられていた。
Muellerによると、このルクセンブルクの大臣は、デンマーク、ポーランド、ポルトガルの3カ国が、同指令がB項目として記載されることを望んでいたことを認めたという。今後、同指令は欧州議会に送られ、2度目の審議が行なわれるが、その結果、同指令が否決されたり、あるいは修正されることもありうる。
汎欧州の圧力団体Foundation for a Free Information Infrastructure(FFII)は欧州理事会に対し、同指令に反対している欧州各国の国会と、同指令の作り直しを求めていた欧州議会の見解を無視していると非難した。
FFIIは声明の中で「今日は民主主義にとって大変不幸な日だ。欧州理事会が欧州憲法により、さらに強力な権力を与えられることを考えると、今日の出来事は欧州憲法に大変暗い影を落としたといえる」と語った。
ソフトウェア特許を支持する非営利団体、CompTIAの公共政策担当ディレクター、Hugo Luedersは、欧州理事会lが同指令を承認したことに満足していると述べている。Luedersは、Lisbon Agendaによって設定された目標、すなわち2010年までにEUが世界で最も競争力が高く、最も活発な知識主導型経済になるという目標に向け、EUが今後も確実に努力していくためにはソフトウェア特許が必要だと主張する。
Luedersは、「われわれは、同指令がもっと早い時期に承認されてしかるべきだったと考えている」と述べ、さらに「Lisbon Agendaの推進は極めて緊急な課題であり、同指令はそのための重要な要素の1つだ」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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