米連邦控訴裁判所が、Microsoftに対して5億6500万ドルの損害賠償支払いを命じた下級審判決の一部を破棄した。
カリフォルニア大学と同校からスピンオフしたEolas Technologiesが起こしたこの特許侵害訴訟には、多くの関係者が苛立ちを示していた。この裁判の行方次第では、Macromedia FlashやAdobe Acrobatなどブラウザ内部から起動するプラグインアプリケーションを使している数百万カ所のウェブページが変更を余儀なくされる可能性があるからだ。
今回の判決は、下級裁判所の判決を一部破棄して残りは支持し、判断全体を無効として差し戻した上で裁判のやり直しを命令する、という複雑なものだった。このことから、両当事者はともに勝訴を主張している。
「重大な問題の大半が明確になったため、この判決は大学にとって勝訴だと考えている」とカリフォルニア大学の広報担当Trey Davisは述べ、「Microsoftにとって重要な問題については、同社の負けだ」と語った。
これに対してMicrosoft側では、特にカリフォルニア大学が特許を認められた技術が登場する前に、アーチストでソフトウェアエンジニアのPerry Pei-Yuan Weiが考案した同様の技術がすでに存在していたとする主張など、最も重要な点では同社が勝訴したと述べている。
Microsoftの特許訴訟を担当する同社法律顧問補佐のAndy Culbertは、「これは非常に大きな勝利だ。われわれは、Pei Weiの優れた成果を根拠として、この特許が無効だと主張していた。そして今回、控訴裁判所はわれわれの主張の正当性を完全に立証した。われわれは、この特許の無効性と非強制性を差し戻し審で立証できると期待している」と述べた。
控訴裁判所は、下級裁判所がMicrosoftに対して陪審員にViolaブラウザを示すことを認めなかった点を適切でなかったしている。同ブラウザは、カリフォルニア大学の特許申請日より1年前の1993年に、当時カリフォルニア大学バークリー校の学生だったWeiが開発したものだ。
Microsoftによると、カリフォルニア大学による特許申請前からViolaは存在し、内容が類似する「先行技術」にあたるという。
しかし、連邦地裁判事のJames Zagelは、Weiが自分の開発したブラウザを「放棄し、発表せず、隠していた」として、Violaは先行技術にはあたらないと判断したことを受け、下級審の陪審員はViolaに関する意見聴取を行わなかった。
2日に開かれた控訴審では、WeiがViolaをSun Microsystems engineersのエンジニアらにみせていたことを理由に、同氏が自分の開発したブラウザを発表しなかった、もしくは隠していたとはいえない、との判断が下された。また、WeiがViolaの新バージョンを公開したことについては、下級審で示されたような「放棄」にはあたらないとした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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