ソフトウェア特許指令の作り直しを求める要望が欧州議会の古参議員によって承認されたが、今後の展開については、ソフトウェア特許の賛成派と反対派で見解が分かれている。
欧州議会の法務委員会は2月はじめに、コンピュータを使った発明の特許取得に関する指令を最初から作成し直すよう求めた。
現状では、同指令によってソフトウェア特許は合法化されることになる。ソフトウェア特許賛成派は同指令によって欧州企業による研究開発投資が守られると主張するが、反対派は技術革新が抑制されると主張する。
欧州議会の広報担当によると、欧州議会議長と各政治団体の代表者で構成されるConference of Presidentsは現地時間17日、ソフトウェア特許指令の作り直しを求める要望を議論することなく即決で承認したという。この要望案は今後、欧州委員会(EC)に送られ、そこで同要望を認めるか否かの決断が下される。
欧州委員会は当初、欧州議会の要望に従うと見られていたが、最近の動きから、ECは要望を無視するのではないかとの見方が強まっている。ECは最近、欧州連合理事会(EU Council)が指令の承認を延期したことに失望感を示した。
Foundation for a Free Information Infrastructure(FFII)のHartmut Pilch会長は、今後の展開は予測がつかないと語る。
「欧州委員会が欧州議会の要望に従うのか、あるいはこの機会に良い指令を起草するのかは、はっきりしない」(Pilch)
ソフトウェア特許に反対するウェブサイト上で反対運動を推進しているFlorian Muellerによると、ベルギーの首都ブリュッセルでソフトウェア特許反対のデモ行進が行なわれた後に開かれた(デモ参加者の)記者会見は自信に満ちた雰囲気だったという。
Muellerは、「Conference of Presidentsが(欧州委員会の要望を認める)決断を下し、しかも満場一致だったことから、(反対派の)人々の雰囲気は明るい。これで、強力な政治的決断がECに送られる」と述べ、さらに「(ソフトウェア特許指令の)作り直しを求める要望を欧州委員会が完全に無視する可能性は低いと誰もが見ている」と付け加えた。
ソフトウェア特許の支持団体であるコンピュータ技術産業協会(Computing Technology Industry Association:CompTIA)の公共政策担当ディレクター、Hugo Luedersも今後の展開は予測できないと語る。
Luedersは、「Lisbon Agenda」によって設定された目標、すなわち2010年までにEUは世界で最も競争力が高く、最も活発な知識主導型経済になるという目標に向け、EUが今後も確実に努力していくためにはソフトウェア特許が必要、と主張する。
Luedersは、「(Conference of Presidentsが17日に下した)決断が今後どのような反響を招くかは定かではないが、強力な(知的財産)がLisbon Agendaに述べられているように欧州の成長の原動力としての役割を果たすことは明白だ」と述べ、さらに「2004年5月に欧州委員会で締結された政治協定によって、Lisbon Agendaの目標は確実に達成されるだろう」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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