米下院は米国時間10日、各州が成人に運転免許証などの身分証明書を発行する際、連邦政府が承認した電子IDカードの形でこれらを発行するよう義務付ける法案を可決した。
この規則の下では、連邦政府の職員は同規則に準拠していないライセンスやIDカードを受け付けないため、今後、連邦政府が管理する航空機、列車、国立公園、連邦裁判所などの米国人による利用が制限される可能性がある。同法案は261対161で可決された。
「Real ID Act」と呼ばれる同法案は、運転免許証などのIDカードにデジタル写真、偽造防止機能を組み込むことを義務付けている。また、磁気やRFIDなどのようにコンピュータで解読可能な技術を使って、定められた最低限のデータをIDカードにもたせることも義務付けられている。同規則の詳細部分の作成は国土安全保障省(DHS)が担当する。
共和党議員らは、2001年9月11日に同時多発テロを引き起こしたハイジャック犯のうち4人が、州が発行した有効な運転免許証を所有していたとして、テロ行為を阻止するためにも、こうした新規則が必要だと主張している。Tom Davis下院議員 (バージニア州選出、共和党)は9日から始まった審議の中で、「航空機に搭乗する際に誰かにIDカードを見せられたら、その人が本当にIDカード通りの人物であるという確証が欲しい」と語った。
各州には、人々から社会保障番号を聞き出し、社会保障庁に番号の確認をとることが義務付けられる。また、州民の生年月日や入国状況が記された文書をスキャナで取り込んで膨大なデータを蓄え、電子記憶装置に永久に保存することも義務付けられる。
また同法案は、各州に対し、政府から財政支援を受ける条件として各州のDMV(Department of Motor Vehicles)のデータベースを連結させることを義務付けている。各州で共有が義務付けられる情報としては、運転免許証やIDカードに印刷されている全データ、さらに交通違反、免停、違反点数といったデータなどが挙げられる。
Real ID Actについて、一部の保守系団体や公民権擁護団体からは、ナショナルIDカードの考え方と何ら変わらないと法案をあざける声も聞かれたが、Bush政権は同法案を支持した。米政府は先週、下院による同法案の可決を強力に支援するとの声明を発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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