今、宗教的テーマを含む迷惑メールが増加している。しかも厄介なことに、この手の迷惑メールは商業目的のスパムと違い、違法ではない。
セキュリティ対策企業のMessageLabsによると、最近、スパムの力を使ってメール受信者に宗教的救済を押し付けるケースが増えているという。
同社によると、この種のメールは製品を宣伝しているわけではなく、単に宗教上の理念を説いているにすぎないため合法だという。
MessageLabsのスパム対策技術者Matt Sergeantは「(宗教メールが)急増した理由はたくさんある」と述べ、さらに次のように続けた。「(宗教メールは)スパム対策法の適用が免除され、Can-Spamなど、大半の国内法の下では合法とされている。この種のメールは商業目的ではなく、その点はある意味で興味深い。というのも、スパムの送信にはコストがかかるが、(宗教メールの場合)全く利益を生まない。しかし、恐らく送信者らは宗教上の利益があると考えているのだろう」
最近、件名に「Only believe(ひたすら信じなさい)」と書かれたメールが出回っている。本文の内容は以下の通り。
「永遠とは、非常に長い時間である。もしあなたやあなたの身近な人が今まで神を受け入れてこなかったとしたら、是非今日からそうしてください」
「以下の祈りの言葉を唱えれば、あなたやあなたが愛する人は救われるでしょう。」
「言いなさい、『神よ、わが魂をお救いください。今まであなたに背いて罪を犯し、申し訳なく思っています。しかし、私は戻ってきました。神よ、私はこの先一生あなたにお仕えします。私の罪深い習慣から、私を救い出してください。私を自由にしてください!私は、Jesusが私のためにカルヴァリーで亡くなったと信じています。そして、彼の血を信じています。彼の血に、私が犯してきた全ての罪を洗い流す力があると信じています』と。言いなさい、『Jesusよ、私の心にお入りください。さあ、どうぞ、Jesus、お入りください!』と。あなたが心から述べたのであれば、Jesusはもういらしています。心から祈ったのならば、Jesusはあなたのものです。これから聖書を読みなさい。毎日祈りを捧げ、誰かが聞いていると信じなさい」
「彼の名は、Jesus。」
しかし、これまでに「ナイジェリア刑法419事件」の詐欺メールを真似た宗教メールの被害が数多く報告されている。あるメールは、「より信仰心の強い個人のクリスチャン」を募集し、メールの受信者がいくらかのお金を前払いすれば、宗教上の目的で1860万ドルが受け取れるという内容だった。
クリスマスを前に、ユーザーに届く宗教メールの量は今後さらに増加するとMessageLabsは見ている。
「(宗教メールは)かなり前から存在したが、これまでは全く検知されなかった」とSergeantは語る。「今回、大量のスパムが出回ったことから、今後も同様の事態が起こると考えられる。最近は非常に低コストでのスパム送信が可能になりつつあり、資金がほとんどなくても、数百万単位のメール送信が可能だ」(Sergeant)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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