Googleは14日(米国時間)、ローカルPCのなかに保存されたファイルやウェブ履歴を検索する、同社にとっては第1世代のデスクトップアプリケーションをリリースした。このGoogleの動きが、インターネット検索分野の状況を大きく変えるばかりでなく、プライバシー侵害の懸念を生む可能性もある。
Googleは「Google Desktop Search」というシンクライアントアプリケーションを開発した。このアプリケーションは、メールやMicrosoft Officeの文書、America Online(AOL)のチャットログ、これまでにアクセスしたウェブの履歴といった情報を検索し、ウェブブラウザの画面上からアクセスできるようにするものだ。
「これはちょうど、コンピュータの詳密な記憶のようなものだ。以前見たことがあるものなら、必ず見つかるはずだ」と、GoogleのMarissa Mayer(コンシューマー向けウェブ製品担当ディレクター)は述べている。
Googleは、このデスクトップ検索ツールをリリースしたことにより、ウェブナビゲーションとPC検索を統合する競争でYahooやMicrosoft、AOLといったライバルに勝利し、最先端の検索技術として今後も人々の意識に残ることになった。同社がデスクトップ検索ツールを準備中だという噂は、数カ月前から流れていた。デスクトップ検索はすべての大手検索エンジンが優先課題としているものだが、投資家やアナリストの間では、特にWindowsオペレーティングシステム(OS)でデスクトップを支配するMicrosoftが、ウェブ検索分野で先頭に立つGoogleにとって最大の脅威になるとの見方が広まっていた。
Microsoftは以前に、次期Windowsの「Longhorn」では、PC内部に保存されたファイルの検索機能が改善されると述べていた。だが、Longhornのリリースは大幅に遅れており、ファイル検索機能の改善計画も延期されてしまった。さらに、Microsoftの研究者らは、現在さらに高度な検索ツールを開発中であり、それが今後の製品に搭載される可能性はある。
検索業界の専門家で「SearchEngineWatch.com」編集者のDanny Sullivanは、「Googleはライバルを出し抜いただけでなく、競争のルールも変えてしまった」と述べている。「彼らは、『我々は検索をOSの一部にしているのではない。デスクトップをGoogleの一部にしているのだ』と話している」(Sullivan)
それでもGoogleは、消費者のプライバシーに関する分野でいくつかの課題に直面するかもしれない。同社がユーザーの使うPC内の個人情報にアクセスすることはないが、検索ツールはメールやAOLのチャットログなどの個人ファイルを、ウェブブラウザに瞬時に表示する。したがって、あるユーザーのコンピュータを他の人が使ったり、ユーザーの肩越しに画面を見たりすれば、当人はばつの悪い思いをすることになる。
Googleは昨年10月に、約12人のエンジニアのチームでこのアプリケーションの構築を開始した。プロジェクトの主任開発者には、NEC Research Instituteから同社に移ったシニア・リサーチサイエンティストのSteve Lawrenceが就任。同チームは今年2月に、スタッフやその家族の間で非公開のベータテストを行なっている。Googleは15日に、公開ベータをリリースし、ソフトウェアに対するユーザーコメントを募集している。
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