Apple Computerで「あり得ない事」が起きてから12カ月が経った。
Apple最高経営責任者(CEO)のSteve Jobsが、Windowsユーザーに向けて音楽ファイルを販売する計画を発表したのは、ちょうど1年前のことだ。同社はその後、魔法を使ってすべてのWindowsユーザーをMac使いに転向させたわけではないが、それでもかなり好調にこのビジネスを展開してきている。
Appleは過去1年の間に何千万曲もの音楽を販売し、さらにiPodの販売台数を倍増させている。同社はiTunesの利用者やiPodの購入者全体に占めるWindowsユーザーの割合を明らかにしていないが、PCの普及率--Macが5%未満であるのに対して、PCは市場の90%以上--を考えると、これがかなりの割合にのぼると考えられる。
AppleがiTunes Music Storeを合法的な音楽販売の標準として確立したのは間違いない。NPD Groupが新たに発表したデータによると、iTunesは音楽ダウンロード販売の市場で70%のシェアを確保しているという。この結果は2003年12月から2004年7月までのデータを集計したものだ。
「iTunesは売上高でも、あるいは使い勝手や品揃えの質の点でも、オンライン音楽(販売)の標準を確立した。彼らが扉をこじ開け、それに他社が追従している」とYankee GroupアナリストのMike Goodmanは述べている。
しかし、Appleの成功をもっとうまく表しているのはiTunes以外の部分だ。iTunes Music Storeの利幅は数セントと非常に薄く、またソフトウェアは無償で配布されているが、同社ではこれらをiPod販売のための道具と見なしている。そのiPodはとえいば、数多くの競合製品が登場しているにもかかわらず、いまでもそのセンスの良さで他社のお手本になっている。
投資銀行のPiper Jaffrayが実施した調査によれば、全米の高校生の16%がすでにiPodを所有しているという。また、そのほかの4分の1の生徒もiPodの購入を計画しており、他社の携帯音楽プレイヤーを購入しようとしているのは約8%に過ぎなかった。
では、ティーンエイジャーにとってiPodはどれほど重要なのだろうか。Piper Jaffrayの調査によると、クリスマスプレゼントの候補に挙がったなかでiPodより上位に来たのは、衣類、お金、そして車だけだったという。
Appleが米国時間13日に公表する決算報告を見れば、同社の業績がどれだけ好調かを確認できるだろう。だが、輝かしい業績をあげる同社も、過度の期待という難問に直面している。
Appleの株価はこのところ1株40ドル近辺で取引されている。これは、昨年暮れの2倍であり、8月からでも約30%増となる。同社による最近の成功、さらにはそうした成功が今後も続くとの期待感が同社の株価にますます織り込まれるようになっており、これがAppleの課題となる可能性もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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