英国放送協会(BBC)が、オープンソースのビデオ圧縮技術開発プロジェクトを発表した。BBCではこのプロジェクトから生まれる技術が、いつの日にかWindows Media Playerを脅かす存在になることを期待している。
BBCはこのプロジェクトを、ロンドンで開催中の「LinuxWorld」で特に大々的に発表したわけではない。しかし、このコーデックが期待に応えるものになれば、すぐにもプロプライエタリなビデオ技術を脅かすものになるだろう。
物理学者のPaul Diracにちなんで名付けられたこの「Dirac」というコーデックは、現在まだ初期のテスト段階にある。しかし2005年秋のベータ版公開時には、市販の製品と同程度か、それを上回る技術になる可能性も十分にある、と開発者らは語った。
3年前にこのプロジェクトを始めた開発リーダーのThomas Daviesは、MicrosoftのWindows Media Playerをターゲットに据えている。
Daviesは、自分が作ろうとしているのは製品ではなく、開発者向けのソフトウェア構築ツールである点を強調した。
「これは完全に汎用のコードだ」(Davies)。
Diracに使用されている技術は、低解像度の携帯電話の画面から、ハイビジョン、さらには映画まで、さまざまな用途に適しているとDaviesはいう。「デスクトップ用ビデオ制作にも、ストリーミング配信にも、映画にも--圧縮が必要なものなら何にでも利用できる」(Davies)
Daviesは来年中に新たな開発ツールをリリースする予定だ。
Daviesはベータ版公開までに、同ソフトウェアで標準解像度の映像をリアルタイムでデコードできるようにしたいと考えている。「ベータ版公開までには、全てのデコード用ツールが揃っているはずだ。これらのツールはプラグインの形で、さまざまな再生ソフトに使われるだろう」(Davies)
Daviesによると、BBCはソフトウェアとその開発に使用する技術の保護を目的として防衛的な特許を取得しており、「こうした特許が永遠に無料でライセンスされることを保証するため」、Mozillaライセンスに基づいてソフトウェアをリリースする予定だという。
BBCではDirac以外にも、オープンソースのソフトウェアツールを多数開発しており、マルチメディアデータの交換用フォーマット「Material eXchange Format」(MXF)もその1つだ。「我々は同期データやメタデータつきのオーディオストリームで、MXFのなかにDiracを実装したいと考えている」(Davies)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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