米国時間5日にDVDでリリースされたマイケル・ムーア監督の「華氏911」が、オンラインディスカウント・ショップの「Overstock.com」で特別待遇を受けているが、ただしこれは監督を喜ばせるものではないかもしれない。
Overstock.com は、歴代のドキュメンタリー映画のなかで最も商業的に成功した同作品のDVDと、ほとんど無名の「Fahrenhype 9/11」という作品のDVDを、一緒に並べて宣伝している。Overstockは後者について、「非常に話題を集めた映画のなかでマイケル・ムーアが行った主張に挑戦する新しいドキュメンタリー」と紹介している。
Overstockは、「あなたの立場は?」と書かれた下に両作品を並べて掲げ、「Fahrenhype」のオンライン予告編へのリンクをはっている。またOverstockサイトは、同社がこのDVDの独占販売者だと宣伝しているが、実際にはBlockbusterやHollywood Videoの一部の店舗でもこのDVDを手に入れることができる。
この作品はムーアの主張に反対するもので、Fox News Channel解説者のディック・モリスと、先月の共和党全国大会で演説した、俳優のロン・シルバー、前ニューヨーク市長エド・コッチとジョージア州上院議員のツェル・ミラーの3人が登場している。制作者が超党派だと主張するこの作品は、劇場ではほとんど公開されていない。
これと対照的に、ブッシュ政権と同政権によるイラク戦争への突入を鋭く批判したムーア監督の作品は、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞し、1億ドルを超える興行収入を稼ぎ出した初めてのドキュメンタリー作品だ。
Overstockが、この2つのDVDを同等に扱い、密接に関係づけているのはなぜか? Overstockの広報担当Scott Blevinsは、この点に関し、地元の映画製作者を支援する機会として、これをとらえていると述べた。Overstockと、「Fahrenhype」のプロデューサーであるJeff Haysは、どちらもソルトレークシティを拠点に活動している。
「我々は、一刻も早く両作品を顧客に届けるために、従来の時間のかかる小売流通システムを回避して、直接これらを販売できる立場にあった」と、Blevinsは電子メールのなかで述べた。ちなみに、Blevinsは「Fahrenhype」の広報活動も担当している。
OverstockがFahrenhypeのプロデューサーと結んだ独占販売契約は、同社最高経営責任者(CEO)のPatrick Byrnesが、共和党支持者であることとは全く関係がないと、Blevinsは述べた。Byrnesは先ごろ、ユタ州の共和党州知事候補Jon Huntsman Jr.に7万5000ドルの政治献金を行ったことで、同候補の家族以外では最も多額の資金を提供した献金者となった。だが、Blevinsによると、Byrnesは民主党にも寄付を行ったという。
なお、Michael Moore監督や同氏のスタッフからは、この件に関するコメントは得られていない。
Mooreの映画が興行的に成功を収めたことから、民主・共和両陣営の支持者である映画制作者らにより、数多くのドキュメンタリー作品が出されている。こうした作品のなかにはMooreを攻撃するものやBush大統領を称賛するものなどがあり、「Michael Mooreは米国嫌い」「 George W. Bush:ホワイトハウスに対する信念」「摂氏41.11」といったタイトルが付けられている。この最後の作品は先週ワシントンで先行公開されたが、タイトルの「摂氏41.11」は人間の脳が麻痺し始める温度を示しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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