サンフランシスコ発--Googleの出資者で同社の社外取締役を務めるベンチャーキャピタリストのJohn Doerrは、米国時間5日に講演を行い、同社がウェブブラウザ市場に参入するとの憶測が流れていることについて、その可能性はないと述べた。
当地で開催されたWeb 2.0カンファレンスで、満員の聴衆を前にしたDoerrは、「ブラウザ市場はこれから再び盛り上がる・・・我々はたくさんの技術革新を目にすることになるだろう」と語った。さらに同氏は、新しいブラウザが市場に現れるのに合わせて、Googleのアプリケーション・プロトコール・インターフェース(API)や広告ネットワークがこれらのブラウザをサポートするようになると述べた。
しかし、Doerrはそのあとで、自分がGoolgeの取締役会メンバーだからというだけで、必ずしも同社の活動を把握しているとは限らない、という冗談を口にした。
Doerrは、Googleのこれからや新規株式公開(IPO)についてはあまり語りたがらなかったが、それでも同社が進みそうな方向性に関して指針を示した。そのなかには、さらに多くの情報を検索可能にすることや海外展開、さらには個別のユーザーを識別できる存在になること、などが含まれていた。
Doerrは、Web 2.0カンファレンス初日の晩にこのインタビューを受けた。この集まりは、インターネット業界で働く企業幹部がウェブの次の発展フェーズについて考えることを目的に開かれたもので、Amazon.comのJeff BezosやBroadcast.comのMark Cuban、 IdealabのBill Grossといった、ネット(ビジネス)の黎明期から活躍する面々が顔を揃え、各々の将来についてのビジョンやそれを実現する新しい技術について話をした。
Bezosはこの日のプレゼンテーションのなかで、初期段階のインターネットは、ウェブサイトが消費者にとって便利なものになるよう開発されたが、現在ではウェブがコンピュータにとって役立つものになるよう主眼が置かれていると述べた。同氏はWebサービスとして知られる、互換性のないシステム間で通信を行ったり情報をやりとりするためのソフトウェアに言及した。Webサービスは、オンラインの小売サイトが自社のビジネスを拡大する上でますます重要な役割を果たすようになっており、自社の小売ネットワーク以外の分野から売上を生み出すうえで役に立っている。
たとえば、Amazonの新しい検索ベンチャーであるA9.comは、Amazon独自の「書籍内検索("search inside the book")」機能を利用するいくつかのAPIで構築されている。同社は2年前にWebサービス部門を発足させたが、いまでは6万5000を超える登録ユーザーが同社の小売データベースを利用するようになっている。
Doerrはネットバブル以前に考えられた多くのサービスが、いま再び実現されつつあると考えているようだ。同氏は、他のインターネットポータルが90年代末に検索技術の研究開発を投げ出したなかで、Googleが検索を作りかえてしまったことがその1例だと語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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