企業は運営するウェブサイトについて、米障害者差別禁止法(Americans with Disabilities Act:ADA)を遵守する義務を負わない、との判決を米連邦控訴裁が下した。
第11巡回区控訴裁判所は24日(米国時間)、主に手続き上の理由から、企業は運営するウェブサイトについてADAの遵守義務を負わないと結論付けた2002年10月の下級裁判決を支持した。この訴訟は、目の不自由な人のための権利保護団体がSouthwest Airlinesに対し、ウェブサイトの再設計を求めて起こしたもの。
ただ3人の判事団は、将来、同様の訴訟が起こされればこの問題がより深く検討される可能性はあると語った。Stanley Marcus判事は次のように述べている。「この件の実体審理は行わないが、われわれは決して、提起された法的問題の重要性を認識していないわけではない。」
今回の裁判で仮にウェブサイトを運営する企業側にADA遵守義務があるとの判決が下されていたら、アラバマやフロリダ、ジョージアなど、第11巡回区内の州でオンラインビジネスを行いたいと考えている企業に対して新たな義務が課されることになり、判決の影響はかなり広範囲に及んでいた可能性がある。
ADAでは、全ての公共施設が障害者にとって利用可能なものでなければならないと定められており、公共施設をホテル、レストラン、ショッピングセンター、大学、ボーリング場など12種類に分類している。ただ、その中にインターネットは含まれていない。
この訴訟は、権利擁護団体Access Nowと目に障害のあるRobert Gumsonが起こした。彼らは目が不自由であってもSouthwestのサイトで航空券を購入することは可能であると認めたものの、「大変な困難を伴う」と主張した。Gumsonは、自分が音声合成装置付きのスクリーンリーダーを搭載したパソコンを所有していると述べた上で、Southwestに対し、同社サイトに画像の代役を果たすテキストを掲載することと、同サイトのナビゲーションバーを彼が理解しやすいように設計し直すことの2点を同社に命じるよう裁判所に求めた。
同訴訟が起こされて以降、Southwestは目の不自由な人が操作しやすいよう自社サイトのデザインを見直したようだ。CNET News.comもテキスト表示のみのLynxブラウザを使ってSouthwestのサイト上で航空券予約を試みたが、互換性や操作の問題が生じることなく、無事に予約できた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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