テキサス大学ダラス校では、大学当局がキャンパス内にある学生用住居での、私的なホットスポットの導入を禁じたことから、両者の間に緊張が高まっていた。しかし、このほど大学側がこの規制を撤回したことで、問題は解決に向かうことになった。ただし、電波の干渉に関わる問題は今後も続くことになりそうだ。
大学当局は先週8日に、学生がキャンパス内の住居に決められた規格以外のWi-Fiネットワークを導入することについて、これを規制する方針を明らかにした。学生は、802.11b/gベースの製品を使えない一方で、それほど人気のない802.11aベースの製品なら利用が許可されている。この方針は、無秩序に構築されたホットスポットが、学生や職員を対象に大学側が無償提供する無線LANサービスと干渉を起こしているとの苦情を受けたものだと、大学側の技術管理者は述べている。
しかし、この方針を実施に移す法的権利があるかどうかがはっきりしないとの理由により、大学側は10日にこの方針を撤回したと、同大学広報担当のSteve McGregorは語った。
「キャンパス内の住居は、伝統的な学生寮とは異なり・・・大学が所有するものではない。そのため、これらの私的なホットスポットを規制することに自信が持てないということになった」(McGregor)
また学生側でも、米連邦通信委員会(FCC)が6月24日付けで告示した通達で、無許可の(周波数帯を使う)機器の設置と運用を行うユーザーの権利を認めている点を指摘していた。
重複するWi-Fiホットスポットの電波干渉は、同技術の人気が高まるなかで一般的な問題となっている。Wi-Fi技術で使われている周波数帯は無許可で使用でき、規制対象とはなっていない。そのおかげで、Wi-Fi機器は簡単に開発でき、低価格で販売することが可能だが、一方で干渉のような問題が発生した場合にも、解決は個人やメーカーの手に委ねられる結果になってしまっている。
「キャンパス内の住宅にあるホットスポットの数はかなりの伸びを示しているが、それが原因でアパート間での電波干渉が起きている。みんなが個々に(この問題を)解決していかなければいけないだろう」(McGregon)
安価で簡単に設置できるWi-Fi技術は大学でも人気が高まっている。各大学はこれまで新しい無線ブロードバンドサービスの実験や開発の場となってきていた。
Wi-Fiネットワークの設置を制限することは、干渉を防ぐためによく使われる手だ。大企業のなかには「はぐれ」アクセスポイント(企業内に存在する未認可のWi-Fiホットスポット)を見つけ出し、それを無効化するために、専用の製品を購入したところさえある。これらホットスポットは実質的にセキュリティホールとなっており、企業情報を危険にさらしている。
テキサス大学ダラス校は、無線ネットワーク業界の主要プレイヤーであるTexas Instrumentsによって民間の研究所として設立された後、1969年にテキサス州に委譲された。現在では、1万4000人以上の学生が同大学で学んでいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが 日本向けに編集したものです。
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