米国の各大学では、学校側がキャンパス全域でのワイヤレスインターネット接続や、助成金付きの合法音楽ダウンロードサービス、さらにはiPodの無料提供に至るまで学生向けの設備を充実させるなか、学生たちは「デジタルライフスタイル」の速習コースを受けている。
学校後援のハイテク技術普及の取り組みを成功させることは、初期顧客の購入パターンをテストし、ハイテクマニアの意見を集めているデジタルライフスタイル用機器やサービスのプロバイダらにとって、非常に重要なことだ。しかしながら、学生に最新技術を提供することと、学生をマーケティングの実験材料とすることには若干のズレがある、と警告する批評者もいる。
「私は学生たちに教育に役立つツールを提供し、学生が就職してから目にするかもしれない技術に触れさせることに賛成だ」とデイトン大学(オハイオ州)の副事務長で最高情報責任者(CIO)のThomas Skillは述べている。「しかし、われわれは学習の成果から目を離してはいけない」
大学のキャンパスが技術革新を生み育てる場であることはよく知られている。したがって、新たなデバイスやアプリケーションの最初のテスト場所に大学が含まれていても意外ではないだろう。こうしたデバイスやアプリケーションの多くには、直接的な教育上のメリットがある。たとえば高速なワイヤレス回線経由でビデオが流せれば、授業に参加できなかった学生が講義を見られるようになる。
だが大学は、教室での接続が良くない機器やサービスの推進プログラムを後援するようにもなってきており、大学が消費者技術に関するマーケティング研究所のようになりつつあるのが現状だ。
iPodのプレゼントも
デューク大学は新入生1650名に、Apple Computerの新iPodを無料提供した。このiPodは店頭では通常250ドル以上するもので、大学の校章と「2008年度卒業生」という文字が掘り込まれ、大学職員からの歓迎のメッセージがプレインストールされている。
大学はこの実験プログラムの費用として約50万ドルを負担した。この金額には値引き価格でのiPodの代金と、学術コンピューティング専門家の給料、実験に参加した教授らへの助成金が含まれている。この費用は、単発で行なわれる革新技術のための資金で賄われた。
デューク大学の職員らは、デジタル音楽再生用として知られるiPodが、外国語の学習やオーディオブック、講義などに役立つことを期待していると述べている。
iPodの無料提供は、非常に競争の激しい教育市場での学生獲得にむしろ役立つのではないかという人々もいる。こうした無料のギフトは、大学の予算の使い方に関する優先順位について、深刻な疑問を投げかけると彼らはいう。
「入学担当の職員たちは、志願者に大学をよりアピールできることなら何でもやりたいと考えている」とSkillは言う。「その結果、どこの学校が一番多くデバイスを無料提供できるか、という競争になることが多い。しかし入学料・授業料を今後も値上げしていく場合、それをどう正当化するかについて、われわれは非常に慎重にならなければならない」
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