これまで標準に準拠することをブラウザメーカー各社に求めてきたある団体が、Microsoftから提供されるInternet Explorer(IE)の使用中止を訴えるウェブサイトを立ち上げた。
このサイトには、IEの使用をやめてほかのブラウザに乗り換えた人たちから寄せられた推薦文が掲載されている。サイトは、Apple Computerが以前、MicrosoftのWindowsユーザーに対してMacintoshに乗り換えるよう訴えた「Real People」広告キャンペーンを思い起こさせる。
起業家のDavid Catherallは、「IEの利用は苦痛だった。IEは直感的に使えるものでは全くなかったし、マニアがマニアのために書いたソフトに思えた。少なくとも、初心者のために作られものではない。また、時が経つにつれ、IEのセキュリティホールが問題を引き起こすのではないかという不安が強くなってきた」と書いている。
このキャンペーンを展開するのは、Web Standards Project(WaSP)という団体。同キャンペーンは、「Browse Happy(楽しくネットサーフィン)」といった明るいタイトルを銘打っているが、そのメッセージには不吉な警告の意味が込められている。
「IEはあなたのコンピュータを危険にさらします。もっと安全なブラウザに乗り換えませんか。既に多くの人々が乗り換えています。彼らの意見に目を通し、自分に合ったブラウザを選んでください」というメッセージがサイトには書かれている。
このサイトでは、IEからほかのブラウザに乗り換えた人からの推薦文をまだまだ募集している。
Microsoftはこのサイトに対するコメントを控える一方で、IEは圧倒的なシェアを維持できるとの自信を示している。
Microsoft関係者は、「われわれは、顧客が自分たちのニーズに最もよく合うブラウザを選ぶと信じている。エンドユーザーの機能、サイトやアプリケーションの互換性、拡張性、企業内での管理のしやすさ、そしてMicrosoft独自のプロセスやエンジニアリングによって確保されたセキュリティなど、すべての要因を考慮すれば、大半の人がIEを使い続けることになると信じている」と述べる。
しかし、ブラウザシェアでトップを走るIEに対してこのようなネット抗議運動が起きた原因は、同社のセキュリティ問題に対する対応ぶりにある。
U.S.Computer Emergency Readiness Team(US-CERT)は先ごろ、セキュリティ上の問題を理由にIEの利用を控えるよう呼びかける勧告を発したが、WaSPは同勧告にも言及している。US-CERTは、国土安全保障省と民間セクターが提携してコンピュータセキュリティに対処するための活動を行っている。
WaSPはサイトに、「新しいセキュリティ上の欠陥がおそろしい頻度で報告されており、国土安全保障省などのセキュリティ対策の主要組織では現在、IEの使用中止を推奨している。かつては最良の選択肢だったIEも、今では負担になっている」と記している。
同サイトはIEの代替製品として、Mozilla FoundationのオープンソースブラウザであるMozillaとFirefox、AppleのオープンソースベースブラウザでMacintoshの最近の機種に対応するSafari、そしてOpera Softwareのブラウザを挙げている。
WaSPは、増加する一方の非標準ブラウザ1つ1つに合わせてサイトをコーディングすることに嫌気がさしたウェブ開発者たちによって、1998年に設立された。同団体はMicrosoftをはじめとする各ブラウザメーカーに対して標準に準拠するよう促す取り組みを行っており、昨年は、この取り組みの目標を達成したと宣言していた。
WaSPはIEについて、セキュリティとはほとんど関係のない欠陥も含め、ネット上のさまざまな害悪の原因になっていると非難している。
同ウェブサイトには、「(IEを)まだ使っている人にとって、ウェブは好ましくない場所となりつつある。ポップアップウインドウやスパイウェア、ずさんなセキュリティ欠陥をついて広まるウイルスは、ユーザーの日常生活において大きな負担になっている。ほかのブラウザに搭載されるような便利で革新的な機能は、まだIEには搭載されていない。これらの問題に対するMicrosoftの動きは鈍い」と記載されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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