インスタントメッセージソフトの分野で、長年にわたって中傷合戦を続けていたMicrosoft、America Online(AOL)、Yahooの3社が、予想外の歩み寄りを見せている。
3社は米国時間15日に、Microsoftの企業ユーザー向けIMシステム「Live Communications Server(LCS)」が、今年中にもAOL Instant Messenger、Yahoo Messenger、MSN Messengerとの間で相互接続できるようになることを発表する。
しかし、3社の一般ユーザー向けクライアントソフト同士が接続することは依然として不可能なことから、3大IMサービスの間での相互乗り入れ実現はLCSを利用する企業内に限られる。
「企業向けのIMが前進するためには、相互接続の実現が不可欠だ」と、MicrosoftでLCSの製品マネージャを務めるDennis Karlinskyは述べている。
Microsoftは、AOLとYahooにロイヤリティを支払って、両社のクライアントからLCSへ接続できるようにする。この支払い金額の算定方法について、3社は詳しい説明を避けており、AOLやYahooに接続するLCSユーザーの数をベースに算定されるかどうかはわかっていない。
この相互乗り入れが実現した場合、LCSと、AOLおよびYahooの各IMサーバが直接リンクすることになる。つまり、LCSユーザーは自分のIMクライアントにログオンすると、YahooやAOL、MSNのメンバーリストが表示され、各メンバーにメッセージを送信できるようになる。ただし、独自のエモティコンやゲームなど、AOLおよびYahooの一般向けクライアントで提供されている機能をLCSユーザーが使うことはできない。
Karlinskyによると、AOLおよびYahooとのIM間接続機能は、LCS 2005が発表される今年末に試験運行ベースで提供開始され、正式な開始は来年前半を見込んでいるという。
今回の3社間合意は、IMの将来に関して3社の間で長く続いた停滞を打ち破るものとなる。3社はこれまで、同業界の他の企業ともに、各社間の相互接続を実現するための説得力ある動機として、企業へのIM販売を提唱してきた。企業では、従業員が企業ネットワーク内部や外部のメンバーとチャットする必要があるためだ。業界各社の幹部らは、相互接続ができるようになるかどうかは、採算性とビジネスモデル次第だと述べていた。
Gartnerのアナリスト、Lou Lathamは、今回のLCSに関する合意について、相互運用性をめぐって長年対立してきた3社が、複数のクライアントソフトが共存することの価値をようやく認識し始めたことを示すものだと述べている。
「3社がともに歩み寄ったというのは、まったく驚くべきことだ。以前なら、MicrosoftがMSNの人間を説得することさえ、おぼつかなかっただろう」(Latham)
なお、MicrosoftはLCSを企業向けに販売する一方、一般向けにはMSN Messengerを無料ダウンロードの形で提供して、AOL、Yahooと争っている。LCSとMSNとは別の部門がそれぞれ担当している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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