ドメイン名を管理・監視する非営利組織Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)が、論議を呼んでいるVeriSignのSite Finderサービスの影響を評価した待望のレポートを発表した。その中でICANNは、同サービスは好ましくない副次的な悪影響を及ぼし、また一般に受け入れられているインターネット上の行動規範に反していることから、サービスを再開させるべきではない、と結論づけた。
85ページに及ぶこのレポートは、ICANNが組織した技術者グループによって作成された。同レポートでは、Site Finderについて、インターネットに壊滅的な影響を及ぼさなかったものの、コミュニティの規範に違反したサービスであり、個人ユーザーや企業に害を与えた、としている。
VeriSignがSite Finderサービスを開始したのは、2003年9月のことだ。このサービスは、ユーザーが未登録もしくは誤ったつづりの.comや.netのドメイン名を入力すると、強制的にVeriSignの検索ページにリダイレクトされるというもの。このサービスの影響で一部の電子メールユーティリティに混乱が生じ、怒ったネットワーク管理者から非難の声が上がった。VeriSignは、米政府から.comと.netの2つのドメインのマスターデータベースの管理者として、それらのドメインの管理/登録について独占権が与えられている。同社は、タイプミスしたインターネットユーザーをSite Finderのサイトに誘導し、同サイト上の広告を見せることで金儲けをしようとした、と非難されている。
米国時間9日にレポートを完成したICANNのセキュリティと安定性に関する諮問委員会(Security and Stability Advisory Committee:SECSAC)は、.orgや.bizや国コードといったトップレベルドメイン(TLD)でSite Finderに似た「ワイルドカード」リダイレクト機能を使わせるべきではない、と提言した。VeriSignは昨年、ICANNからの苦情を受け、Site Finderサービスを自発的に休止したが、以来同社は、ICANNは技術革新を不当に妨害しているとして同組織を提訴している。
SECSACは調査の一環として、ワシントンDCで公開討論会を2回開催した。
同委員会は以下のような調査結果を発表した。まずSite Finderサービスによって、特定のメールシステムやスパム対策フィルター、さらに他のサービスが機能しなくなり、それにより第三者が直接/間接的なコスト負担を強いられた。また、VeriSignは不正な方法でウェブユーザーに焦点を当て、Site Finderが他のインターネットプロトコルに与える影響を考慮しなかった。さらに、Site Finderサービスはインターネットサーファーらに対し十分な予告なしに「突然」開始され、プライバシーの侵害につながった可能性がある。
VeriSignはSite Finderについて、未登録あるいは誤ったドメイン名が入力された場合に一部のウェブブラウザが表示する役立たないエラーメッセージよりも同サービスの方が、より良い対処法を提供しているとして、同サービスを擁護してきた。同社は、SECSACに対するプレゼンテーションの中で、同サービスがもたらす問題の大半は、「軽微か不便をかける程度」だと主張した。
ICANNの元役員で、Site Finderに批判的なKarl Auerbachは、SECSACの論理は今日の技術に施錠しようとしており、技術革新を妨害する可能性があるとし、同委員会のレポートに疑問を投げかけた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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