全米映画協会(MPAA)は米国時間8日、インターネット利用者を対象に実施した調査の結果を公表した。それによると、ネット利用者の4人に1人が映画作品の違法なダウンロードを行った経験があり、これがチケットやDVDの売上減少につながっているという。
世界8カ国であわせて3600人のネットユーザーを対象に実施したこの調査によると、昨年一年間に最大で約50%のユーザーが著作権で保護されたコンテンツをダウンロードしたという。MPAAと共同で今回の調査を実施したオンライン調査会社のOTXによると、映画をダウンロードした人の17%は映画館に行く回数が減ったとしており、また26%はDVDの購入回数が減ったと答えている。
2004年における劇場チケットの売上はまだ出ていないが、MPAAの調査によると、2003年の世界全体の映画入場者数は、2002年の16億4000万人から4%減少し、約15億7000万人になったという。
それでも、1993年から2004年にかけて見ると映画入場者数は3億3000万人(27%)増えており、DVDの売上やレンタルも2002年から2003年にかけて50%急増したことが、この調査で明らかになった。
MPAAでは、ブロードバンドインターネット回線の普及が世界各国で加速するなかで、違法なダウンロードを行う人が増えるのが最大の懸念だ、としている。たとえば、韓国では人口の約98%がブロードバンドを利用していると推定されている。そして、同調査によると、人口の約60%は映画をダウンロードしたことがあるといい、また3人に1人は映画館に行く回数が減ったと答えたという。
MPAA広報担当のMatthew Grossmanは、「海外でのブロードバンド回線普及に伴い、このようなケースが増えることは想像に難くない」と語った。
市場調査会社のThe Yankee Groupによると、米国ではすでに約2920万世帯にブロードバンドが普及しているという。
もう1つ、違法なダウンロードに対する消費者の姿勢も、懸念材料になっている。今回の調査では、対象者の69%が映画のダウンロードを現代社会の大きな問題として捉えていないことが分かった。また、ネットから映画をダウンロードしたことのある人の50%強が、今後もこうした行為を続けるとしており、まだしたことのない人のなかでも17%がこれからするつもりだと回答。さらに、調査対象者の38%が、封切り前の作品のダウンロードを悪いとは思わないと答えたという。
こうした理由から、MPAAでは世界的なキャンペーンを展開し、オンラインからの映画ファイルのダウンロードに対する監視を強めるほか、映画の違法コピーが及ぼす影響についての啓蒙活動も行っている。また同団体は、違法なファイルダウンロードや海賊版コピーについて、人々に警告を促す宣伝用短編を作成するなどの戦術を採っている。
なお、今回の調査は豪、仏、独、伊、韓国、日本、英、米の各国の住民を対象に実施された。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」