米最高裁が米国時間28日にも、待望のオンラインポルノ規制に関する判決を下す。これまで米政府の介入をほとんど受けてこなかったアダルトサイト業界だが、判決内容によっては業界に衝撃が走りそうだ。
児童オンライン保護法(Child Online Protection Act:COPA)が米国民のインターネット上での表現の自由を侵害しているか否かについて、最高裁は28日にも判決を下す予定だ。1998年に制定された同法は、「未成年者にとって有害」と思われる露骨な性描写を含む商用サイトを規制しており、違反者には民事制裁金や懲役刑が科される。ただし、審理進行中はCOPAの適用は保留されている。
「(COPAを容認する下級裁判決が)支持されれば、大きな波紋を呼ぶだろう」と語るのは、アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union:ACLU)の弁護士で、最高裁で弁護に当たったAnn Beesonだ。「われわれは、インターネット上ではこのような法は存在しないと思っている」(Beeson)
アダルト産業の業界団体Free Speech Coalitionでエディターを務めるLayne Winklebleckは、「最高裁の判決で全てが決まる」と語る。
これまで米議会は、通信品位法(Communications Decency Act :CDA)と児童ポルノ防止法(CPPA:Child Pornography Prevention Act)の2つの法律を制定し、オンラインポルノに対する刑法の拡大を図ったが、いずれも最高裁によって骨抜きにされた。
これまで米政府がオンラインポルノを規制してこなかったことは、インターネット上でのアダルト産業の繁栄を許す結果となった。Reuters Business Insightが2003年2月に発表した試算によると、2001年のオンラインコンテンツの総売上の3分の2は性関連業界によるもので、以来同業界は25億ドル規模にまで成長したという。
COPAについては、まるで卓球のラリーのように下級裁判所と最高裁との間で繰り返しやり取りされるという異例の訴訟手続きが行なわれてきた。フィラデルフィアの連邦判事は1999年2月に同法を無効とする判決を下し、第3巡回控訴裁判所もこの判決を支持した。しかし最高裁は2002年5月、控訴裁判所に対し、もっと分析を行うように要求した。その結果、控訴裁判所は2回にわたって同法は言論の自由を保障した米国合衆国憲法修正第1条に反すると述べている。
COPAが合憲と認められた場合、各アダルトサイトが被る影響は判決文の言い回しや表現によって変わってくる。1つの可能性としては、性的興奮を引き起こす画像の商用サイトへの掲載が全面的に禁止されることが考えられる。サイトにクレジットカード番号の確認や「成人向けアクセスコード」を要求するなどの措置が講じてあれば、通常は未成年者の立ち入りが不可能となるので、それらのサイトの運営者は起訴されないとCOPAは定めている。
しかし、ACLUのBeesonは、COPAの「未成年者にとって有害」という定義はあまりに広すぎるため、同性愛者や性教育などを扱う非ポルノサイトも規制の対象となる可能性があると警告する。ACLUは、OBGYN.net、Philadelphia Gay News、Artnet、PlanetOut、Internet Content Coalition、Salon.comといった企業・団体を代表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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