米国時間16日、デジタルラジオネットワークの著作権保護に関する提案を米レコード協会(RIAA)が初めて公開した。これを受けて、レコード会社各社が消費者団体や電子機器メーカーと対立している。
デジタルラジオは、従来の無線放送をインターネット通信で使用されるものと同じ信号に置き換えることで実現されるものだが、これによってFM信号の音質がCD並に向上することが期待されている。しかし、強力な録画・再生機能を実現するハードディスクベースのレコーダを提供したことで、TiVoがテレビを変えたように、デジタルラジオは、ラジオの利用形態を変えてしまう可能性もある。
米連邦通信委員会(FCC)は、この新しいメディアに注目し、先ごろ調査を開始した。今後、コンテンツ保護やそのほかの規制が制定される可能性がある。
RIAAは16日、リスナーが対価を支払わずに楽曲を録音したり、録音した曲をオンラインで交換するのを阻止するために、新しい著作権保護措置を設けるようFCCに要請した。デジタルラジオサービスを通し楽曲をCD並の音質で録音できるようになれば、消費者はiTunesのようなサービスでアルバムや曲を買わなくなるのではないか、とRIAAやミュージシャンの業界団体は懸念する。
「(この技術が)消費者にとって魅力的なものになることはわかっている。われわれにとって、デジタルラジオがもたらす問題は、PtoPの登場時に発生した問題に匹敵するくらい大きい。しかし、ウイルスもスパイウェアもなく、ファイル共有特有のそのほかの問題もないことから、(デジタルラジオの方が)問題がより複雑だ」と、RIAA会長のMitch Bainwolはコメントした。
デジタルラジオをめぐる議論は、以前行われた、デジタルテレビ技術をめぐる議論と似た方向に発展している。当時、映画スタジオは、作品が録画されオンラインで交換されるのではないかと懸念していた。
デジタルラジオに関して、RIAAは、コンテンツ保護規則を守る人だけが楽曲を再生できるように通信内容を暗号化させたいと考えている。また、楽曲データの中に「フラグ」を挿入し、オンラインで送信された曲が録音されるのを阻止することも提案している。
消費者団体や電子機器メーカーは、こうした提案に真っ向から反対し、FCCには、いかなる種類のラジオ放送に対してもコンテンツ保護を強制する権限はない、と主張する。
「ラジオ放送のデジタル化に干渉することは、進歩や現代化の妨げになる。このような行為は米国らしくないだけでなく、何のメリットもない」と、消費者電子機器協会(CEA)会長のGary Shapiroは同日に発表された声明のなかで述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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