どうやら、「Do-Not-E-mail(迷惑メール拒否)」リストを当てにしてはならないようだ。
セールスや勧誘の電話を避けること目的として運営される全米の「Do-Not-Call(迷惑電話拒否)」リストを管理する米連邦取引委員会(FTC)は米国時間15日、これと類似の技術はスパムと戦ううえでは役に立たないだろうと述べた。理由は、悪質なマーケッターたちが、そのリストを有効な電子メールアドレスの情報源として利用する可能性があるからだという。
「Do-Not-E-mail」リストへの登録は、どのような形で実施されることになっても、「消費者にとって効果がなく、厄介なもの」になるだろう、とFTCのTim Muris委員長は記者会見で述べた。同氏は、「われわれが登録の仕組みを設けても、設けなくても、消費者はスパムを送りつけられる結果になる」と述べ、インターネット標準化団体が検討しているSender Policy Framework(SPF)やDomainKeysのようなアンチスパム技術の方が期待できる、と付け加えた。
Murisのこのコメントは、全米規模で「Do-Not-E-mail」リストへの登録の仕組みを設けることを昨年提案した上院議員Chuck Schumer(ニューヨーク選出:民主党)の怒りを買った。
「『Do-Not-E-mail』の仕組みの確立に前向きに取り組まないFTCの姿勢には、失望している」とSchumer議員はCNET News.comへあてたメッセージのなかで述べ、「確かに、この仕組みは完全な解決策ではないが、深刻さを増す一方のスパム問題に対して、われわれが打てる手としては最高のものだ。断固として譲らないFTCの態度を踏まえ、われわれは議会で代替案を検討していくつもりだ」と付け加えた。
昨年制定された連邦初のアンチスパム法Can-Spam Actでは、FTCに対して登録の仕組みを設けることを強く勧めているが、義務付けてはいない。
同法律はFTCに対し、全米規模の「Do-Not-E-mail」システムを設置するための計画とその予定表を明確にした報告書を作成し、6月半ばまでに議会に提出するよう求めていた。また、この案に対して「実務や技術、セキュリティ、プライバシー、権利行使の可能性やその他の点からみて懸念」があれば、FTCはその根拠を報告書に盛り込むことになっていた。
これを受けてFTCが作成した報告書は37ページにわたる。この報告書は著名なコンピュータ科学者3名と共同で調査し、登録システムの運営を希望する企業から吸い上げた情報を基に作成された。報告書には、「Do-Not-E-mail」リストの長所と短所に関する、現時点で最も徹底的な分析結果が記載されている。「現在の状況下で、全米規模の『Do-Not-E-mail』登録システムを運営しても、スパム問題に対し何ら有益な効果をもたらさないだろう」と報告書は結論づけている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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