カリフォルニア州サンノゼ在住のAlexandria Feltonは先月、自分のHotmailアカウントにログオンしてがくぜんとした。保存してあったファイルがすべてなくなっていたのだ。
消失したのは、数年間ためてきたビジネスとプライベート双方の通信記録や写真、最近予約したばかりの旅行の日程表だという。彼女は、Microsoftが運営する同電子メールサービスの窓口に電話をかけたが、悪い知らせが待っていた。「システムの関係」でデータが完全に消滅してしまい、どうすることもできない、という回答がテクニカルサポートスタッフから返ってきたのだ。
「怖いことだ。このようなサービスは簡単に利用できるし無料だから、まるで空気のような存在になっている。だが、リスクがあることは認識しておくべきだ。もうHotmailにはたくさんのデータを保存しないつもりだ」(Felton)
データ破壊はデジタル時代には絶えずつきまとう問題だが、今回のケースはオンラインサービスプロバイダの責任範囲について疑問を投げかける。一方、消費者のもとには大容量無償ストレージサービスの宣伝情報が大量に押し寄せる。Googleの新しいウェブベースの電子メールサービスGmailや、類似のサービスで、ストレージ容量は最大1Gバイトにも達する。
消費者は、過去にも失望感を味わっている。顧客ファイルをオンライン管理するサービスプロバイダがドットコムバブル時代の終わり頃に突然、事業から撤退してしまったこともあった。当時サービスを停止したMyspace.comやI-Drive.comなどのオンラインストレージプロバイダは、ユーザーに十分な通知を行っておらず、ファイルが消失した顧客からは不満の声が上がった。
Hotmailサービスにはこれまでも何度か「問題」があったが、今回のケースではFeltonの無料アカウントだけが被害を受けたようだ、とMicrosoftは声明のなかで述べている。
MSNおよびHotmail担当のプロダクトマネジャーBrooke Richardsonは、電子メールのなかで「われわれはネットワークを保護し、顧客データの消失を確実に防ぐため、たくさんの予防措置をとっている。定期的にシステムのバックアップをとるのは、その一例だ」と述べ、「ここまでしても問題が発生することがあるのは認識している。今回のケースは特殊で、われわれの顧客ベースでは再現しないものと考えている。顧客のデータがどのように消失したか現在調査中だが、消失したファイルを復旧するのは不可能だ」と付け加える。
法律の専門家によると、Hotmailなどのサービスは、法的責任の免除が広範囲に謳われたサービス契約のもとで運用されるのが一般的で、消費者はデータが消失してもプロバイダに何も請求することができない、という。
カリフォルニア州サンラフェルを拠点に活動し、過去にこのような訴訟をいくつか扱ったことのある弁護士Ira Rothkenは、「(こうした問題では)一般的に消費者の方が不利だ。率直に言って、これは仕方がないと思う。データ消失につながるようなトラブルはいつでも起こり得るのだから」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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