John Gillilanは、南カリフォルニア大学の新入生寮にある自分の部屋にPepsiのキャップをずらりと並べているが、その一つひとつがAppleのiTunes Music Storeからダウンロードした曲を表している。
Macintoshユーザーで、熱心な音楽ファンの彼は、同サイトが1年前に開設されたときから曲を購入し始めた。そして今年、Gillilanは学生寮の食費に充てる2500ドルの大半をPepsiの購入に回し、PepsiのiTunes無償ダウンロードキャンペーンを活用することを思いついたのだった。
18才のGillilanは、大半のiTunesファンより熱心かもしれないが、音楽を専攻し、レコーディング作業にも携わる彼には、オンラインでの音楽配信の成功が将来の自分に重なって見えている。そして、この成功を今日最もよく現しているのがiTunesの売上だという。
「レコード業界が今のところ乗り気でないのは明らかだが、(今年は)実際に目の前で素晴らしいことが起こっている」とGillilan。「私のキャリアの成否は、このビジネスモデルが今後どれだけ成功を収めるかにかかっている」(Gillilan)
iTunesが業界を主導すると考えているのはGillilanだけではない。元気のなかったデジタル音楽ビジネスを事実上軌道に乗せたのは、爆発的な評判を集めた登場から米国時間28日でちょうど1年を迎える同サービスだった。
これから来年にかけて、ソニー、Microsoft、そしてVirginの各社がこの市場への参入を予定している。またYahooも参入すると見られており、さらにAOLも加入者を現在のようにiTunesにリンクさせるのではなく、独自にサイトを開設する可能性がある。
メジャーなレコードレーベルでさえも、音楽ダウンロードビジネスで大いに盛り上がっている。インターネットからのダウンロードを成長の機会と見る代わりに、これを脅威と捉えていた音楽業界としては、これは劇的な転換だ。
Appleが同サービスを立ち上げるまでの2年間は、毎月膨大な数の曲を無償でダウンロードできるようにしていた、NapsterやKazaaなどのファイル交換サービスに関心が集まっていた。売上高の減少に苦しんだ主要レコードレーベルは、訴訟の提起に夢中になり、各社が最も大きな関心を寄せているのはデジタル音楽ビジネスの発展を抑制することではないかとの非難を浴びていた。
Universal MusicのeLabs事業部社長であるLarry Kenswilは、「iTunesは極めて貴重な存在だ。これが議論の流れを変え、流行を変え、デジタル音楽阻止を狙っているというレコード会社に対する評判までも変えた」と述べている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス