ラスベガス発--RealNetworksの最高経営責任者(CEO)Rob Glaserは20日(米国時間)、先頃Apple Computerに拒否された提携の申し入れの件を無視し、映画業界に対して新しいデジタル技術をどの利用者にも公開しておくように呼びかけた。
AppleのiTunes Music Storeのような、新しいデジタルエンターテインメントサービスや、同社のiPodで使われている違法コピー防止ツールには、他社の技術との互換性がない。Glaserはこの点を取り上げて、こうした互換性の欠如が消費者離れを招く恐れがあると述べた。
当地で開催中の全米放送事業者協会(National Association of Broadcasters:NAB)カンファレンスで講演に立ったGlazerは、Appleのクローズドな環境に言及し、「まるで旧ソ連のようだ」と述べ、聴衆の笑いを誘った。「PC市場を無視していては、互換性に関して泥沼状態に陥る。Appleのやり方では、メインストリームの市場ではうまくいかないだろう」(Glaser)
AppleやMicrosoftなどが開発した互換性の無いフォーマットが乱立するなかで、RealNetworksは技術的に中立な「IT業界のスイス」になろうとしている。RealNetworksのHelixマルチメディアソフトウェアは全ての主要フォーマットをサポートするが、同社の独自技術をサポートするハードウェアメーカーは数えるほどしかない。
GlazerはApple CEOのSteve Jobsにアプローチし、両社が技術的な同盟関係を結んで、RealNetworksの提供する音楽サービスのユーザーもiPodを利用できるようにしたいとする提案を行ったが、結局うまくいかなかった。このためRealNetworksには、宿敵Microsoftとの関係強化を余儀なくされる可能性が出てきている。Microsoftの技術は既に10数種類の音楽プレイヤーでサポートされており、今年の夏後半には大々的にアップグレードされる予定だ。
Glaserはまた、映画業界に対して、インターネットの映画配信サービスに作品をライセンス供与する上で慎重になり過ぎないよう提言した。誤って慎重になり過ぎると、PtoPネットワークによる違法なファイル交換に手を焼く音楽業界の二の舞になりかねないというのがGlazerの考えだ。合法的な映画のダウンロードサービスはすでに存在するが、ダウンロードしたファイルの取り扱いに厳しいルールが課せられていたり、最新作品が手に入りにくい、あるいは作品の品揃えが乏しいなど、いくつかの制約に阻まれて普及が進んでいない。
それにも関わらず、映画業界は依然として映画のライセンス供与には消極的な態度をとり続けている。これはコンテンツの違法な流通を防ぐ著作権管理(DRM)技術の不備が原因だと多くの業界幹部が主張している。また、PCの画面上で長編映画を見たがらないユーザーも多い。
Glaserは、新しいメディアと広告の将来はパーソナライゼーション技術にかかっていると述べた。
その結果、GlaserはGoogleと新たに結んだ提携関係について強調した。RealNetworksはこの契約に基づき、同社のオーディオ/ビデオ再生ソフトの最新版「RealPlayer 10」に、Googleの検索ツールバーを同梱していくことになる。
Glazerは、検索広告市場の急成長について触れ、同市場が成功した理由は、広告の対象をよく絞り込んでおり、ユーザーが探している事柄に合わせて内容をパーソナライズしているからだと述べた。
Glazerは、2004年度に80億ドルの売上が見込まれるオンライン広告市場で、検索広告が全体の約3割を占めるという調査結果を引用した。Googleとの提携で、この売上の一部を得たいというのがGlazerの考えだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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