「Pho」というメーリングリスト(ML)では、エンターテインメント企業の幹部と著作権嫌いの学生らが、およそ半世紀にわたって情報技術の将来について議論してきたが、現在このMLが四面楚歌の状態にある。
このMLへの購読申し込みは増加している。だが、それにも関わらず会員数は減少している。非常に多くのメールアドレスがスパムメールでいっぱいの状態か、あるいはバルクメールのフィルターによって隔離された状態に陥り、その結果、それらのアドレスがリストから除外されてしまっていることが主な原因だ。
最近、Time WarnerやITニュースサイトNews.comの発行者であるCNET Networksなどの企業が、MLのメッセージを定期的に送り返す作業を開始した。これに不満を持ったのは、日常的に購読しているデジタル音楽情報が読めなくなる購読者だけではない。ネットワーク管理者らも、一日数千通も送り返されてくるメールを時々メールサーバから除去しなければならない、と不満を漏らす。
これはPhoに限ったことではない。便利なオンラインツールとして長年にわたって最も広く利用されてきたMLだが、いま大量の迷惑メールをめぐるネット戦争の巻き添えをくらい、被害を受ける危険性がますます高まっている。
Cherry Lane DigitalのCEOでPhoの共同設立者であるJim Griffinは、「これらの病気の一部に対して我々が施した処置は、我々自身に跳ね返り、我々の首を絞めている」と述べ、さらに「いま我々が議論しているのは、1つのメディアの終焉についてだ。インターネットの最も基本的な機能の1つ(であるML)が重大な脅威にさらされていることを憂慮している」と語った。
MLの死亡記事を書くには、まだあまりに時期尚早だ。30年の歴史を持つMLは過去にも幾多の危機に直面したが、そのたびに優れたプログラマーや新技術の助けを得て生まれ変わってきた。そして、MLの支持者らによると、企業やMLの管理者らが、MLや他の正当なメッセージにほとんど影響を与えずにスパムを制御し続ける方法を考案しつつあり、過去に行われたのと同様のML再生プロセスがすでに進行中だという。
Microsoftの研究部門でUsenetなどのコミュニティやメールグループを研究している社会学者のMarc Smithは、「ネットの初期の頃には、我々はネットの神経システムを築いたが、誰も免疫システムを構築しなかった」と述べ、さらに「しかしここにきて、免疫システムが出現しつつある」と語った。
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