無料IP電話ソフトウェアを開発するSkypeは米国時間15日、投資家から1900万ドルの資金を調達したと発表。この資金について情報筋は、同社のユーザーと一般電話の利用者とを接続させるために「大いに役立つ」とコメントした。
現在、同社のユーザーが会話できる相手は、インターネットに接続され、Skypeソフトウェアが動作するほかのコンピュータのユーザーに限られており、自宅や仕事場の電話機は、従来の電話回線を利用しているために、Skypeユーザーとは通話できない。また同ソフトウェアが使えないユーザーも多い。
ファイル交換ソフト「Kazaa」を生みだしたメンバーが設立したSkypeは、大手電話通信会社から毎月相当量の通話時間を買い上げ、これを自社の顧客に提供するための現金を必要としている。一般加入者電話との接続は、Skypeが立ち上げたいと考えているプレミアムサービスの1つだ。しかし今のところ、同社の主要製品であるPtoPソフトウェアは無償で配布されており、ヘッドセットの販売だけでは従来の電話網に攻撃を仕掛けられるだけの充分な資金をまかなえていない。
「今回の出資は、Skypeのサービスを公衆電話網と接続に大いに役立つ」とSkypeの計画に詳しいある情報筋は述べている。
自社のネットワークをVoIPプロバイダーに開放するのは、通信キャリア各社にとって得策とは言えないが、ただし現行の法律の下では、そうせざるを得ないようになっている。
さらに、Skypeは今週開かれるCeBit 2004で、欧州の大手家庭用電話機メーカーが今後発売を予定している自社のコードレス電話製品に、SkypeのPtoPソフトウェアを内蔵することを発表するとみられている。これらの製品の最終デザインはまだ決まっていないが、ボタン1つでSkypeのサービスを利用できる機能のほか、SkypeのIMライクなインタフェースを表示する画面も搭載されることになりそうだ。
Skypeはまた、Plantronicsというオフィスおよび家庭用電話機向けのヘッドセットをつくる大手メーカーとの提携も、今週発表すると見られている。
Skypeのある関係者は、従来の電話網との接続が「同社の最優先事項の1つ」であることを認めているが、最終的な計画は一切決まっていないと語った。
VoIPが従来の加入者電話網と接続できれば、大きな利益があがると見られていることから、投資家の間では高い関心が寄せられている。従来の電話網には重い税負担が課されているが、インターネットを使うVoIPにはそれがなく、安い料金で電話をかけられるからだ。
VoIPのシステムにも、まもなく従来の通信キャリアと同様の税負担が課される可能性もある。にもかかわらず、Voiceglo、Vonage、Net2Phoneといった各VoIPプロバイダには最近投資資金が集まっている。
「Skypeの登場はとても重要な出来事だ」と語るのはTim Draper。Draper Fisher Jurvetsonというベンチャーキャピタルのマネジングディレクターを務める同氏は、「Skypeの技術は、通信業界に本当に大きな変革をもたらすことになると考えている」と付け加えた。
Draper Fisher Jurvetsonは、今回の投資1900万ドルのうち、約900万ドルを提供している。またIndex Venturesという別のVCも投資を行っているが、ただし金額については明らかにされていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス