ウェブの大手企業各社が、密かに検索関連の特許をかき集めている。いつの日か、大勢の人間が情報を手に入れるための方法をコントロールできる可能性があり、利益を生みだすこの技術をめぐり、各社は大金の賭かった戦争を始めるべく準備を進めているところだ。
Yahooは先週、長年のパートナーだったGoogleの検索エンジンを自社のサイトから外したが、これによって、検索エンジンを巡る軍拡競争の口火が切られることとなった。
両社は、YahooがOverture Servicesを昨年買収した際に引き継いだ、ドル箱の検索関連広告を動かす入札システムの特許を巡り、数カ月前から激しく争っている。アナリストによると、この争いは非常に静かな展開を見せてはいるものの、今後ウェブ検索技術関連の知的財産を巡る戦いが激化する兆候を示しているという。
マサチューセッツ州ボストンの法律事務所Lucash, Gesmer and Updegroveで働く弁護士のDavid Jacobsは、「Yahoo対Googleの争いは氷山の一角に過ぎない。多くの動きは舞台裏で起こっており、その大半は業界を動かすか、あるいは足かせとなるものだ」と述べている。
特許は、技術に依存するどの企業にとっても重要で、企業同士がウェブ検索の知的財産を巡って対決するのは驚くことではない。しかし、検索業界ほど急激に縄張り争いが勃発し、それが驚くべき結果へとつながる可能性を秘めた業界は他にない。
長い間、学術研究の世界では不毛な分野と考えられていた検索技術は、2年ほど前にビジネスの主流へと一気に躍り出た。検索の結果が、製品やサービスの販売に影響を及ぼすことが分かったからだ。検索エンジン広告は、回復途上にあるインターネットマーケティング業界のなかでも最も急速に伸びている分野の1つで、またYahooが昨年記録した84%という利益成長の原動力ともなっている。
利益が上がると認識されたことから、検索に対する見方も改まった。いまでは、MicrosoftやIBMといった技術業界最大手の企業でも、検索技術の研究開発が最優先事項となりつつある。そして、このことから検索技術をめぐる「餌の奪い合い状態」が生じていると、業界の消息筋は述べている。
「各社は、必至になって特許申請を出している。自社で開発する技術に関して確実に知的財産権を押さえておくことが、以前よりもずっと重要になっている」と語るのは、Jason Weiner。同氏は今年、Dipsieと呼ぶ新しい検索エンジンの発表を計画している。
Yahooは、過去14カ月間にInktomiとOvertureという2つの大型買収を行い、これを通じて手に入れた数多くの特許を押さえている。同社CEO(最高経営責任者)のTerry Semelは、Overture買収の直後に、Yahooが特許を所有することの重要性に言及している。
Overtureは、Yahooに買収される前にAltaVistaを買収しており、ウェブの検索技術として最も古い部類に入る特許をいくつか取得している。Digital Equipmentの一部だった当時、AltaVistaはウェブクローリング技術に関して7件、インデックス作成に関して7件、そしてクエリ処理に関して2件の特許を取得している。同社はまた先読み型の(forward-looking)検索技術に関する16件の特許も申請中だ。
さらにYahooは、2億8000万ドルを投じたInktomi買収からも、いくつかの検索関連特許を取得している。
一方、Googleは少なくとも8件の特許を所有しているが、その数はもっと多いかもしれない。これらのなかには、データベースから情報を抽出したり、全くもしくはほとんど同じファイルを検知する方法に関する特許も含まれている。Google創業者のLarry Pageは、リンクされたページの数でウェブページの重要性を計算する「PageRank」という公式の特許を取得したスタンフォード大学のグループの一員だった。
また、Microsoftは一般的な検索関連の特許を保有しているが、このなかにはディレクトリに掲載された情報を検索する方法に関するものも含まれている。さらに、検索対象分野の選択を向上させるためのシステムや、ブール代数もしくはキーワード検索エンジンを利用する「コンセプト」検索の方法に関する特許もある。
さらに、Amazon.comでも、検索関連広告に影響を及ぼす可能性のある特許について、自社の権利を主張している。同社は昨年3月、ウェブページ上に表示される広告をオークション形式で販売する方法に関して、特許を申請した。
最近各社に認められた特許のなかには、例えばNECの「focused search engine」に関するものや、Amazon.comの傘下にある Alexa Internetの、ウェブユーザーの履歴をトレースするための技術に対するものなどがある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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