カナダで先頃、PtoPサービスを使って音楽をアップロードすることは違法だがダウンロードは合法的だ、とする裁定が下されたが、それも同国の音楽業界によるファイル交換ユーザーに対する独自の動きを押さえる役には立たないかもしれない。
これは、カナダの業界団体加レコード協会(CRIA)が、個人のファイル交換ユーザーを訴えるという米国レコード協会の計画と足並みを揃えているからだ。そして、法に詳しいアナリストによると、先週カナダの著作権委員会が下した裁定も、CRIAが独自に訴訟を起こすという動きを阻止する大きな障害にはならないだろうという。
オタワの法律事務所、Osler, Hoskin & HarcourtのMichael Geistは、「先週の判断が(音楽業界の)潜在的な訴訟戦略に大きな影響を与えるかどうか、はっきりわからない」と語る。
Geistによると、CRIAは音楽をダウンロードする人と同じぐらい容易にアップロードする人を見つけられるという。KazaaのようなPtoPサービスを利用すると、ユーザーは他のPCにある楽曲をダウンロードできるのと同時に、自らのマシンのハードディスクにある楽曲を他のユーザーも利用できるようアップロードを行うこともできる。
CRIAが、個人のファイル交換ユーザーを訴えて、全米レコード協会(RIAA)の動きに従うのではないかという推測は、16日に最高潮に達した。カナダの一般紙National Post紙は、CRIAが音楽アップロードユーザーを訴える法的行為を計画しているという記事を一面に掲載したからだ。
この記事は、匿名の情報筋の話を引用して、CRIAは早ければ2004年1月にも訴訟を開始すると付け加えている。同紙とのインタビューで、協会トップのBrian Robertsonは、個人を相手取って訴訟を起こすという決断は、ファイル共有は間違っていることを個人ユーザーに啓蒙する試みを行った後になると述べている。
CRIAの広報担当者は、これに関するコメントを控えた。その代わり、米国でRIAAが個人を相手取って41件の訴訟を起こした翌日の12月4日付けで発表した報道資料を指し示した。これには、ファイル共有に対するCRIAの姿勢が書かれているという。
「CRIAは今日まで、若い人を対象としたインターネットの特許権侵害問題に関して、100万ドルを超える金額をその啓蒙に費やしてきた。今後もこの取り組みを継続する」とRobertsは報道資料のなかで述べている。「だが、ハードコアのユーザーは、このような啓蒙活動から何の影響も受けていないように見え、また今後も受けないだろうと思われる。このようなユーザーは、自分が愛していると公言する音楽を、実際には殺しているのだ」(Roberts)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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