人権擁護団体アムネスティインターナショナルは、ベトナム政府が少なくとも10名の人物をオンラインで政治活動を行ったとして投獄したことを非難し、同国政府が、国家安全法を不当に行使して、ウェブ上の政府批判を封じ込めようとしていると述べている。
8000万人のベトナム国民のうちインターネット人口はわずか250万人に過ぎず、そのほとんどはインターネットカフェからインターネットにアクセスしている。経済発展を願う政府としては、インターネットの使用を促進したいところだ。しかし、アムネスティインターナショナルによれば、政府はインターネットの使用を厳しく管理・監視しており、2001年以降少なくとも10名の人間をオンラインで政治活動を行ったとして投獄したという。
ロンドンに本部を置くアムネスティインターナショナルは、ハノイ市でベトナムとEUの人権に関する年次協議が行われたのと同じ日に、34ページにわたる報告書を発表した。
「ベトナムでは電子メールの送信ボタンをクリックすることは、刑務所へ送られ、友人や家族が24時間監視下に置かれることを意味する」と、報告書は記している。
この報告書では「サイバー反体制者」と称される10名の事例を取り上げているが、うち6名は長い禁固刑に服しており、残りは公判を待っている状態だという。このなかのいくつかの事例は、ベトナム国内の宗教活動や農民の抗議活動の様子を、米国に住む活動家に伝えた電子メールにからむものだ。
大きく取り上げられている事例は、かつて兵士だった48才のビジネスマン、Nguyen Khac Toanに関するもので、この人物は、海外に住む活動家グループに農民の抗議運動について伝えたとの理由から、スパイ活動の罪で12年間の禁固刑を言い渡され、投獄された。もう1人のビジネスマン、Pham Hong Sonは民主主義についてオンラインに記事を公開した罪で、13年の刑を宣告されたが、国際的な抗議が巻き起こり刑は5年に減刑された。
「すでに一般に公開されている情報を共有したり、政府を批判することが、どうして長年の禁固刑につながるスパイ活動として解釈されるのか?」と報告書は問いかけている。
アムネスティは、自らの意見を表明したことでベトナム政府に拘束されたこれらの人々の無条件の釈放とインターネットに関する規制の緩和を要求している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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