米国の有力な上院議員が後援するある著作権法案が、まもなく提出される見込みだが、この法案では、ファイル共有ソフトウェアを使用するユーザーのフォルダに、封切り前の映画のコピーが1つでも見つかった場合、最長3年の刑務所入りになるという。
「Artists' Rights and Theft Prevention Act」と名づけられたこの法案は、そのような映画を公共の「コンピュータネットワーク上」で入手できるようにすることを、連邦の重罪として罰し、懲役に加えて、最高25万ドルの罰金を課すとしている。なお、この法案では、著作権侵害が実際に起こる必要はなく、ただ侵害の可能性があるだけで処罰できるという。
John Cornyn(テキサス州選出-共和党)と、Dianne Feinstein(カリフォルニア州選出-民主党)の両上院議員は13日(米国時間)、ワシントンD.C.で行う予定の記者会見で、同法案を発表することになっている。この記者会見には、女優のBo Derek、全米映画協会(MPAA)プレジデントのJack Valenti、全米レコード協会(RIAA)会長の Mitch Bainwolらも加わることになっている。
映画会社各社は、これまで何年もの間、DVDや劇場で封切られていない映画がインターネットで配信されることに苛立ちを示していた。『スターウォーズ エピソード2』『トゥームレイダー』『超人ハルク』などの作品が、封切前にPtoPネットワーク上で出回ったことも報告されている。今年9月、主要な映画会社は、こうした動きに対抗し、アカデミー賞の審査用として会員に配る「選考用」DVDの送付を中止している。
CNET News.comが入手したこの法案の「Discussion Draft(検討用試案)」には、映画外・音楽などの業界と深いつながりのある議員らがPtoPネットワークに対して仕掛けた、これまでで最も激しい攻撃といえる。
「商業目的の配給を意図した映画作品が、まだ公開されていない段階で、この作品を違法に複製し、それをコンピュータネットワーク上で置いて、公衆が入手できるようにした時点で、これを行った者は誰でも、処罰の対象となる」と、この法案には記されている。なお、その作品がすでに配給になっていれば、処罰の適用範囲から外れるようだ。
Cornyn議員のスタッフによれば、この法案は1997年の「No Electronic Theft Act」を拡張するよう考えかれているという。No Electronic Theft Actでは、すでにさまざまな形の著作権侵害行為が、重罪とされている。
アメリカン大学で著作権法を教えているPeter Jaszi教授は、この法案の草案にみられる言葉遣いに対して、「大きな不安を覚える」と述べている。この草案では、ファイルが共有フォルダやウェブサイト、FTP(File Transfer Protocol)サイト上で、入手可能な状態になっただけで著作権を侵害したとみなされ、実際に侵害が起っていなくても、処罰の対象となってしまうからだ。「この草案では、誰かが(違法にコピーされた)作品を手に入れたかどうかは問題にされない。つまり、著作権保有者は、自分たちの所有する権利の侵害が実際に起こったことを証言せずに済むのだ」(Jaszi)
Cornyn-Feinstein法案はまた、「音響映像記録機器」を使って劇場内で映画作品を撮影することを重罪とし、この罪を犯した者には最長5年の懲役刑に処すとともに、封切前にネット上に出回った作品をめぐる裁判では、MPAA会員企業へ支払われる罰金の額も引き上げることを提案している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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