Shiftキーを押すだけでCDのコピー防止技術を迂回できる方法を論文に記し、これを発表したとして、著者であるプリンストン大学の学生を提訴する意向を示していた米SunnComm Technologiesが10日(米国時間)、一転して同学生を提訴しないと発表した。
SunnCommは前日に、問題の論文は「どんなによく見ても欺瞞的な内容であり、最悪の見方をすれば重罪に当たる」と主張し、論文の執筆者であるプリンストン大の博士課程の学生、John "Alex" Haldermanを激しく非難したばかりだ。同社はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、Haldermanに対する民事訴訟を提起すると共に、連邦検事に同学生を刑事犯罪で起訴するよう働きかけると公言していた。
SunnCommのCEO、Peter Jacobsは提訴するとの脅しは誤りだったことを認めた。Jacobsは「その研究者(Halderman)には研究予定があり、彼はそれを実行しているのだろう」と述べた上で、「しかし、それは関係ない。裁判が長期化し感情的な判決が下れば、その問題が曖昧になり、一人歩きしてしまう危険性がある」と語った。
Jacobsは「最初の騒ぎが一段落し、他のいくつかの組織(顧客、顧問、株主など)に意見を聞く機会があり、その時から問題解決方法について別の構想を描き始めた」と述べるに留まり、翻意の理由については明かさなかった。
大学院でコンピュータ科学を学ぶHaldermanは10日、「論文がDMCAに違反していないという確信はあるが、(SunnCommが)提訴を断念してくれて嬉しい」と語った。
SunnCommのHaldermanに対する脅しは、短期間に非常に多くの注目を集め、一部の法律アナリストはSunnCommの訴訟は、DMCAの甚だしい濫用に当たると述べていた。この法律は、コピー防止技術の迂回を広く禁じている。現在、米議会ではDMCAの免責条項を拡大する2つの法案が提出されているものの、現時点では免責はリバースエンジニアリングと学問研究の場合に限られている。
Haldermanの論文が発表されて以来、SunnCommの株価は暴落し、株式価値はおよそ1000万ドルも失われた。SunnCommは、米国未公開株式市場OTCBB(Over-The-Counter Bulletin Board)に上場しており、10日前場の株価は11セントだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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