広く普及しているMPEG標準を考案したグループの創設者が率いるデジタルメディア専門家グループが、米国時間9月30日に国際的なフォーラムを結成した。同フォーラムが目指しているのは、デジタルメディアと著作権保護技術を標準化することだ。
スイスを本拠地として新たに結成されたDigital Media Projectというこのフォーラムは、メンバーが「技術的な内戦」と称するものに終止符を打とうとしているが、これまでこの争いがデジタルメディアのコンテンツや技術の普及を大きく阻害してきたという。
Moving Picture Experts Group創設者で、かつてSecure Digital Music Initiative(SDMI)でエグゼクティブディレクターを務めたLeonardo Chiariglioneをリーダーとする同グループは、一連の提言を計画している。提言の内容は、主に既存の技術に重点を置いたもので、コンテンツの著作権保護スキームを主流のデジタル分野に持ち込もうとしている。同グループには、その決定を実施する正式な権限はないが、それでも、この問題に飽きあきしている業界やユーザーコミュニティの関係者がこの動きに関与し、グループの提言に耳を傾けることを願っている。
「2つのコミュニティが一体となって協力する体制を作る必要がある。そうしなければ、ここ数年間の我々の努力(MPEG標準や他のデジタルメディア標準団体を通じて)が水の泡になってしまう」と、同氏は説明する。
Digital Media Projectは、コンテンツの著作権保護基準を定めることで、デジタルメディアビジネスの推進を狙う、数多く存在する取り組みの1つとなる。これらの取り組みの一部は、非常に大きな成功をおさめている。その一例としては、DVD仕様に責任を負った、業界全体にまたがる作業委員会の取り組みが挙げられるが、これは歴史上もっとも急速に成長を遂げたコンシューマメディアテクノロジーの始動につながった。
他の取り組みは、これほどは成功していない。MPEGグループで圧倒的な成功をおさめたChiariglioneだが、いくつかの失敗に終わった取り組みにも内々に関与していた。そのうち最も顕著なものは、音楽の違法コピーの防止を狙った、2年前に失敗したSDMIの取り組みだ。これは広く報道されているが、レコード会社、家電メーカーや消費者の合意が得られず失敗に終わっている。
同氏によれば、新しいグループは、上記の取り組みに比べればさほど野心的ではないという。 Digital Media Projectの目的は、メーカーに独自の著作権保護技術を開発しないように勧告することではない。単に、さまざまなコンテンツ管理スキームが相互に互換性を持ち、可能な限り多くのデバイスやメディアプレーヤーで動作することを保証することだ、と同氏は説明する。また同時に、学術目的でテキストを抜粋することから、個人使用の目的でCDをコピーすることまで、コンテンツに対するユーザーの期待も尊重されなければならない、と同氏は付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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