連邦控訴裁で係争中のピア・ツー・ピア(PtoP)ファイル交換を巡る裁判で、PtoPサービス企業2社が全米の図書館員という膨大な数の援軍を得ようとしている。
米国の主要な5つの図書館協会が26日(米国時間)、米国の大手レコード会社とハリウッドの映画会社が起こしたカリフォルニア州での裁判で、Streamcast NetworksとGroksterの2社を支持する訴訟事件摘要書の提出を予定している。これにより、ファイル交換サービスがスパムや違法ポルノの温床になっているとのイメージの定着を目指す全米レコード協会(RIAA)の取り組みに、困難が生じる可能性がある。
実際に摘要書を見た弁護士によると、同文書にはファイル交換ソフトMorpheusを配布しているStreamcastならびにGroksterを閉鎖するべきではないと記されていたという。また、この文書は第9巡回控訴裁判所に対し、ロサンゼルスの連邦裁判事が今年4月に下した判決を支持するよう求めている。同判決では、エンターテインメント業界がStreamcast NetworksとGroksterを相手取って起こした訴訟の大半が棄却された。
米映画協会(MPAA)とRIAAに反対する、この摘要書を起草したのは、アメリカ自由人権協会(ACLU)で、同協会にとっては、これが著作権法問題への介入の第1弾となる。
同文書の中心となる主張は、ロサンゼルスの連邦地裁が、1984年の最高裁判決をインターネットに適応して、問題解決を図ったのは正しかったというものだ。当時、最高裁は判決の中で、「(Sonyが)著作権侵害行為に直接関わったのでなければ、(同社を)寄与(著作権)侵害者とは認定できない。それは今回の裁判でも同様だ」とし、SonyがBetamaxビデオ録画装置の製造を継続できると結論づけた。
ファイル交換ネットワークを閉鎖すべきか否かという政治論争に、図書館員たちが参加したことにより、RIAAの今後のPR戦略に支障が出る可能性がある。RIAAは、著作権違反の容疑者たちに対する法廷闘争において、より一層攻撃的な姿勢を強めている。そして、米議会に対して、「1300万人の新たなユーザーが毎月入手可能なファイルの大半は、ポルノに関するもので、その中には児童ポルノも含まれている」と述べた。
ACLUの25日の発表によると、同協会の摘要書では、PtoPネットワークは言論を促進するための技術であり、著作権を侵害しない使用方法も数多く存在すると述べられているという。仮に、MPAA とRIAAが、PtoPネットワークの閉鎖もしくはさらなる集中化に成功すれば、インターネットユーザーの監視に使用される可能性がある、好ましくないチョークポイントが作られる可能性がある、とACLUは指摘している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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