ドメイン名の管理監督を行っている非営利組織、Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は、米VeriSignに対し、新サービスの提供を自主的に一時停止するよう求めた。このサービスはウェブサーファーが、割り当てられていないウェブアドレスにアクセスしようとした際、エラーメッセージを表示せず、VeriSignのウェブサイトにアクセスをリダイレクトするというもの。
ICANNは19日(米国時間)、VeriSignが提供する、いわゆるワイルドカードサービスへの対応を議論している同組織のウェブサイト上で、VeriSignに対し警告を発した。9月15日から開始されたこの新サービスでは、ユーザーが検索すると、検索結果と共に有料広告へのリンクを表示する同社のウェブページに強制的にリダイレクトされる。VeriSignは、最も広く使用されているトップレベルドメインの中でも、.comと.netの2種類を扱うドメイン登録機関で、この2つのドメインが同社のワイルドカードサービスの対象となっている。
ICANNは、現在ワイルドカードサービスに対する苦情について調査中と述べ、VeriSignに対し、より詳しい調査結果が出るまでサービス提供を停止するよう求めた。この新サービスが開始されるまでは、実在しないウェブアドレスにアクセスしようとすると、一般に知られる「404 page not found error」というエラーメッセージが表示されていた。
ICANNは、自ら運営するウェブサイト上に掲載した警告文の中で、「多くの人々が、ワイルドカードサービスに対して懸念を抱いていると認識しており、ICANNはVeriSignに対し、現在行われている様々な再調査が完了するまで、サービスを自主的に中止するよう要請した」と語った。
20日には、インターネットに関する技術標準を決定しているInternet Architecture Board(IAB)も、ドメインネームシステム(DNS)ワイルドカードの分析についての議論に参加した。IABは、ゾーンオペレーターがDNSワイルドカードのリスクを明確に把握していない限り、そのゾーンではDNSワイルドカードは使用されるべきではないとし、さらにそのゾーンの下で権限委譲された団体が十分な理解の上に同意しないかぎりは、DNSワイルドカードは使用されるべきではない、との提案を行った。
割り当てられていない.comや.netのドメイン名を自社の管理下に置くというVeriSignの突然の決断に対し、非難の声が高まっている。同サービスは、スパム対策用ユーティリティに混乱を来しており、苛立つネットワーク管理者からは、同社の経営方針に対して激しい批判がなされている。
このようなリダイレクトサービスを提供しているのは、VeriSignだけではない。Microsoftも、同社のウェブブラウザInternet ExplorerのユーザーがブラウザのURLバーに割り当てられていないドメイン名を入力すると、同社の検索ページにリダイレクトするサービスを提供している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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