米アップルのユーザー:「iTunesで購入した曲を、きちんと転売できた」

 米Apple Computerの運営するiTunes Music Storeの利用者が、同サービスを使って購入した音楽ファイルの転売に成功したことを明らかにした。これにより、新たに登場してきたデジタル音楽配信サービスに関する、法的および技術的に微妙な問題を浮き彫りにするべく始められた、1週間にわたる実験が終わりを迎えた。

 ミシガン州アンアーバー在住のウェブ開発者、George Hotellingは米国時間9日に、今回の転売の詳細を自らのウェブログで公開した。

 Hotellingは、10日に行われたインタビューの中で、インターネットのディスカッショングループで知り合った友人で、ミシガン州イプシランティ在住の同業者でもあるKeith Elderに、iTunesで購入した曲を譲渡できたことを明らかにした。ただし、このやりとりを完了するためには、Hotellingが自身のiTunes Music Storeアカウントの管理情報を、Elderに完全に譲渡する必要があったという。同氏は、譲り渡したアカウントの対価として50セントをElderに請求するつもりだと語った。なお、このアカウントには当初99セントで購入した音楽ファイルが1つ入っていた。

 「我々が2人ともかなりのマニアだからできたことで、普通のユーザーには非常に難しいことだと思う」(Hotelling)

 Appleの関係者によると、同社は10日に会議を招集してiTunes Music Storeの再販規約について話し合い、同日中に声明を出すつもりだという。

 Hotellingは先週、デジタル音楽配信サービスの再販権に注目を集めようと、この音楽ファイルを米eBayでオークションにかけたが、eBayは出品方針に違反するとして、これを取りさげてしまった。

 「Fast Sale」の法原則では、合法的な著作物の所有者は、著作権者の許可を得なくても、その作品を自由に販売することができる。しかし、米国著作権庁から先頃発表された、この原則についての研究では、デジタル商品にはこの原則が適用されないことが示唆されている。このような権利の委譲は作品の複製を意味しており、同原則のなかではこの点について明確な見解が示されていないからというのが理由だった。

 Hotellingは、件の音楽ファイルをElderに譲渡した後、自分のコンピュータからはこの曲を削除したという。また、今回の譲渡がAppleのサービス規約に違反しているかどうか、あるいは著作権の侵害として解釈されるのかは、同氏には分からないという。

 Hotellingは、iTunesのアカウント用にしていたクレジットカードを、7-Elevenで購入したプリペイドカードに変更することで、今回の譲渡を完了したという。そして、そのカードの残高がほとんどなくなった時点で、iTunesのアカウント情報とパスワードをElderに渡した。

 Hotellingの話では、このプリペイドカードの購入代金として彼は29.95ドルを支払ったが、これには9.95ドルのサービス料と、20ドルの残高が含まれていたという。同氏は、そのカードを使って、オンラインの活動家グループである米Electronic Frontier Foundationに19ドルの寄付を行い、実質的に1ドルの損を出したと語っている。

 同氏の考えでは、音楽ファイルを手軽に再販できたり、あるいはギフトとして他人に贈れるような技術を開発したデジタル音楽配信サービスは、競合する他のサービスに対して競争上の優位性を出せるという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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