全米レコード協会(RIAA)は、ピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワークに対する法的取り締まりを促すことにより、インターネット上の著作権侵害行為に対する戦いをさらに拡大させる構えを見せているが、併せてPtoPネットワークで児童ポルノが横行する現状についても警告を発した。
RIAAがファイル交換利用者を相手取り261件の訴訟を起こすという大きな出来事があった日の翌日の9日(米国時間)、RIAA会長のCary Shermanは米上院に対し、KaZaAは大人が児童との性交渉の機会を得るための道具に利用される可能性がある、と警告した。「KaZaAの共有フォルダから何も知らずにオルセン姉妹やポケモンのファイルをダウンロードした児童に、(ある小児愛者が)インスタントメッセージを送信することも可能」とShermanは指摘した。
Shermanによると、米政府が3月に発表したレポートは、「1300万人の新たなKaZaAユーザーが毎月入手できるファイルの大半は、ポルノに関するもので、その中には児童ポルノも含まれている」と結論づけているという。
米司法省の犯罪部門の幹部も、米上院司法委員会が開いたPtoPネットワーク上のポルノに関する公聴会の中で同様の証言を行い、Shermanの発言を裏付けている。
司法次官補のJohn Malcolmは、「PtoPネットワークは法執行に関する重大な懸念事項であり、また社会的関心の高い問題だ。その主な理由として、(PtoPネットワークが)分散型ネットワークであり、さらに比較的アクセスも簡単で、利用しやすいことなどが挙げられる。(FBIは)現在、PtoP技術の比較的新しい分野において、児童ポルノ事件を調査するためのプロトコルの導入を検討している」と語った。
しかしMalcolmは、司法省が、PtoPネットワークよりも流動性・秘密性の両面でPtoPネットワークを凌ぐ可能性のあるIRC(Internet Relay Chat)ネットワークでの、児童ポルノの流通に注目していることを認めた。
いっぽう、PtoPネットワークの運営者側は、大手レコード会社が便利で人気の高いPtoP技術を貶める目的で、横行する児童ポルノのファイル交換を非難していると、怒りを露にしている。
Kazaa ソフトを配布している豪Sharman Networksのエグゼクティブ・バイスプレジデント、Alan Morrisは、RIAAが4月にロサンゼルス連邦裁判所にPtoPネットワークの閉鎖請求を棄却され、重要な訴訟に敗訴して以来、PtoP技術そのものの評判を貶めることを目的とした意図的な運動を展開していると主張した。
米議会で、PtoPネットワーク上のポルノ問題が取り上げられたのは、今回が初めてではない。3月に開かれた下院の公聴会でも、PtoPネットワーク上のポルノを規制する新法の制定の必要性が指摘された。またChuck Schumer上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は9日に記者会見を開き、P2Pネットワーク上の児童ポルノに対する政府の取り締まりを求めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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