総務省は8月28日、「平成16年度IT政策大綱」を発表した。国内の回線の普及状況を踏まえ、今後はユビキタスネットワークなどのサービス分野の拡充に重点を置くとする。
1999年の国内インターネット人口は、総人口の13.4%と、米国の30.0%に比べ低く、2000年におけるDSL回線の契約件数も米国の95万件に対し、国内は11.2万件と差があった。しかし、2001年以降はインフラ整備が進み、現在国内では、DSLが3500万世帯、ケーブルインターネットが2300万世帯、FTTHは1680万世帯が加入可能な環境となった。これらは政府が当初掲げた目標を上回っているという。
国はこれを踏まえ、2004年度は、こうしたインフラの活用に向けた新たなサービスの拡充や、セキュリティの強化などに重点を置くという。重点分野には次の8つがある。
- 「ユビキタスネットワーク社会の実現」:ユビキタスネットワーク基盤技術の研究開発、電子タグなどの高度利活用の推進。また、IPv6化の推進などインターネットの高度化に取り組む。
- 「放送のデジタル化の推進」:地上放送とBS放送のデジタル化を推進し、家庭における、テレビとインターネットとを連携した高齢者・障害者向けサービスを促す。
- 「コンテンツの流通促進」:コンテンツ流通市場の形成を促進し、コンテンツビジネスを活性化する。またWebコンテンツの効率的なアーカイブ化の実現に向けて技術標準化などを目指す。
- 「セキュリティ戦略の総合的推進」:通信事業者のセキュリティ対策の実施や、人材の育成を推進する。
- 「ワイヤレスブロードバンド環境の構築」:拡大傾向にある無線LAN環境に加え、第4世代移動通信システムやITS(高度道路交通システム)の開発・導入を重点的に促進する。
- 「国際的取り組みの強化」:国家間の情報格差(デジタルデバイド)解消を図る。2003年3月に策定した「アジア・ブロードバンド計画」を着実に推進する。
- 「電子政府・電子自治体の推進」:行政手続のオンライン化の基盤整備が2003年度末までにほぼ完了することから、今後は実際の運用と改良に重点を置く。
- 上記7分野以外の研究開発、宇宙通信・測位基盤の高度化推進、ネットワークの整備促進、ITベンチャーの創出、消費者支援、などに重点的に取り組む。
総務省の報道発表(PDF形式)