次なる標的はどこだ?--ブラウザ特許侵害判決で

 米Microsoftと同社のInternet Explorerを特許侵害とする裁判所の判断が下されたことで、ウェブブラウザ市場のベンダー各社のうち、次の標的にされるのはどこかとの憶測が早くも飛び交っている。

 米Eolas Technologiesは、カリフォルニア州立大学のスピンオフした企業で、従業員が1人、取り扱い製品もなく、特許数件を保有するだけで、出資者も100人しかいない。米国時間8月11日、そんな同社がMicrosoftに対して5億2100万ドルの賠償を求めた特許侵害訴訟に勝訴した。

 Eolasは当初、Internet Explorerが同ソフトウェア内部でプラグインやアプレットを利用できるようにした部分が特許の侵害に当たるとし、1999年にMicrosoftを提訴した。イリノイ州シカゴの連邦裁判所はこれに対し、IEがEolasの知的所有権を侵害したとの判断を下した。Eolasの正社員はMike Doyleの1人だけだが、同氏はカリフォルニア州立大学の元研究者である。

 アプレットやプラグインは、ほかの各種ウェブブラウザにとっても重要な機能であるため、Eolasの訴えに関する判断は、Microsoftとブラウザ市場で競合するノルウェーのOpera Softwareのほか、Mozilla.orgやKDE(K Desktop Environment)といったオープンソースグループに貢献するボランティアデベロッパーにも影響を及ぼす可能性がある。

 標的にされる可能性のある企業には、オープンソースのブラウザソフトウェアを配付したり、このようなプログラムをベースに製品開発を行っているところなどが含まれる。このようなカテゴリーに入る企業としては、米Red Hat、独SuSE、米Apple Computer、そして米Hewlett-Packard(HP)などがある。

 Appleは、KDEのブラウザエンジンであるKHTMLを、同社Safariブラウザのベースとして利用している。またHPは、HP-UXオペレーティングシステムにMozillaブラウザをバンドルしている。さらに、Red HatなどのLinuxディストリビューター各社もMozillaブラウザをバンドルしている。そしてOperaは、自社のブラウザソフトを販売するほか、スポンサーによる広告付きのバージョンも提供している。

 今回訴訟の可能性が生じたことで、KDEのデベロッパーからは早速反応があった。 

 同プロジェクトの開発者、Waldo BastianとDavid Faureは、電子メールでのインタビューに答え、「KHTMLはオープンソースソフトウェアであり、従って我々には有償で特許のライセンス提供を行うことはできない。また、KDEには(特許侵害の賠償を求められても)そうした費用をユーザーから集める方法もない」と書いている。

 両氏は続けて、「もしKDEに対して賠償請求があった場合、我々に唯一できることは特許に触れる機能をKHTMLから削除することだけだ。そうなれば、これはソフトウェア特許がインターネット時代の技術革新、競争、そして標準規格の遵守を妨げるという悲しい例になるだろう」とメールの中で記している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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