ピアツーピア(PtoP)のトラフィックはISPにとって最大の悩みの1つだが、スウェーデンのある会社がこの負荷低減に役立つ技術を開発したことを明らかにした。
ストックホルムに本社を置くJoltidが先週明らかにしたところによると、ヨーロッパにある3社の大手サービスプロバイダーが、同社のPeerCache技術のライセンスを受けたという。このソフトウェアは、ファイル交換システム内で頻繁に交換されるデジタルファイルをキャッシングすることで、ネットワークトラフィックの負荷を低減するよう設計されたものである。
PeerCacheは、最も普及しているP2Pプロトコルの1つで、KazaaやiMeshといった人気アプリケーションの基盤となっているFastTrackに対応するよう設計されている。Joltidによると、同社のFastTrackプロトコル上でやり取りされるトラフィックは、ネットワークの全帯域幅の70%近くを占めるという。PeerCacheはISPネットワークに組み込む形になり、FastTrackのP2Pトラフィックを一時的にキャッシュして、帯域幅の負荷低減を助けてくれる。
だが、この技術はインターネット著作権侵害論争でISP各社を窮地に追いやり、論争を引き起こす可能性も秘めている。ヨーロッパでのJoltidのパートナーの1社が、公式には同社との関係を明らかにしていないのが、この可能性を示す理由の1つだ。
米国では、著作権法がユーザーの行動に対する法的責任発生からISPを保護している。PeerCacheソフトウェアを利用すれば、ISPは違法ファイルのデジタルコピーを自社サーバにキャッシュ(一時的に保有)することができるため、KazaaなどのFastTrackシステムを利用して交換を行うユーザーが容易にこれらにアクセスできるようになる。だが少なくともレコード業界のある団体が'実施した初期調査によれば、著作物の複製を保有するとISPが違法ファイル交換の共犯になる可能性があるという。
世界のレコード業界を代表する業界団体IFPIが出した声明によると、「“キャッシング”という言葉を使うだけで、サービスが自動的に著作権法の適用を免除されるわけではない」としている。
その声明はさらに、「Joltidとその顧客による行為の実際の内容は明確でないが、われわれはこのサービスを調査して今後の対応を決める」と加えている。
Joltidを設立したNiklas Zennstromは、Kazaaの共同設立者でもあるが、欧州連合法では適法性の如何にかかわらずサービスプロバイダーが一時的に自社サーバにトラフィックをキャッシュすることは認められているとして、PeerCacheとそれを利用するISP各社を擁護している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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