他に先駆けて、ICカードを使ったID(身分証明)技術を普及させようという、マレーシアの国を挙げての野心的なプロジェクトに、市民は無関心なようだ。
「500万人を超えるマレーシア人が、まだ十分にMyKadカードを使いこなしていない」と、National Registration Departmentの長官を務めるAzizan Ayobは、現地の日刊紙「The Star」に語った。National Registration Departmentは、2200万を数えるマレーシア人全員に、このカードを発行する業務を受け持つ機関。
MyKadとは、政府発行のオールインワンタイプのICカードのことで、データ処理、蓄積、管理などの幅広い機能を持っている。64Kサイズの埋め込み型マイクロチップのなかに、IDカードナンバー、パスポート情報、運転免許、健康情報など、各種の住民データを収めている。最初に導入されたのは2001年4月で、これを使ってATM端末や政府関連のオンラインサービスへ安全にアクセスすることもできる。
「570万人のMyKadカード保持者に、そのポテンシャル全てを理解してもらうのに苦労している」と、Azizanは述べた。
同レポートによると、Azizanは「このカードの機能の一部は、まだ十分に使いこなされていない」と語ったという。電子キャッシュ機能を使っている350万人、ATM機能を使っている300万人の市民がこれに含まれる。
さらに、PKIと呼ばれるデジタル証明/認証のためのアプリケーションを、効果的に導入展開しているのは、Malaysian Institute of Microelectronics Systems (Mimos)という機関だけだという。そのMimosでは現在、業務のスケジューリングや輸送機関の予約などに、MyKadを使用している。
マレーシアの国民は、いまのところ、MyKadを使うかどうかを選択できる。但し、現在のIDカードを交換したり、住所変更や初めてID申請を行う場合は例外。マレーシア政府は2007年までに、2000万枚のMyKadを発行する目標を掲げている。
米国、英国、フィリピンなどでは、2001年9月に起こった同時多発テロ以降、テロリズムへの脅威から、国民総ID制の採用を検討中だと報じられている。だが、そうした計画は、人権や個人のプライバシーを侵害すると信じるPrivacy Internationalのような団体から、激しい抵抗にあっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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